2017年1月28日(土) 2:00pm 東京芸術劇場
コリリアーノ 交響曲第3番 サーカス・マキシマス 39′
Int
レスピーギ(伊藤康英 編) リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲 3′8′3′4′
レスピーギ(鈴木英史 編) ローマの松 3+8+7+5′
シズオ・Z・クワハラ 指揮
東京佼成ウィンドオーケストラ
航空自衛隊航空中央音楽隊(サーカス・マキシマス)
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昔、四半世紀にわたり、ロジンスキー、ワルター、ストコフスキー、ミトロプーロス、バーンスタインのもと連日連夜、ニューヨーク・フィルのコンマスとして弾きまくっていたお父さん、その息子さんの作品は割とよく聴いていますが、これほど破天荒な曲は知らない。エポックメイキングなアフタヌーンとなりました。
ナクソスから出ているテキサス大学のウィンド・アンサンブルの音源が唯一の手掛かり。このCDのブックレットには配置の絵が載っていて、ステージバンド、サラウンドバンド、マーチングバンド、そして、ファーストチア、セカンドチア、サードチア、その上のバルコニー席、各インストゥルメントの配置絵まで書いてある。
(紹介ブログ)
840- サーカス・マキシマス コリリアーノ
今日は芸劇の3階席右寄りで眺めましたけれども、同じような配置とは思われましたが、3階でも全部を見渡すのはなかなか難しい。指揮者のいるポーディアムのところが一番眺めがいいに違いない。
ナクソスのCDは良好な音ですが、やっぱり生の迫力はものすごかったし、音楽的な説得力もすごいもんですね。
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このシンフォニーの副題サーカス・マキシマス、今日は血なまぐさくないイヴェント会場のことだけ取りあえず想像したいと思います。
が、
最近の演奏会は副題をつけるのが流行っていて、この演奏会も御多分に漏れず、「いにしえのローマに魅せられて」、
ちょっと違うんじゃないか、というか、イマジネーションを枠組みの中にはめてしまう。こうゆうやりかたは是非やめてほしいものです。
コリリアーノの曲自体は、昔のイヴェント会場と現代の喧騒を綯い交ぜにしたところにポイントがあるように思われるので、昔の良き部分のメモリーに魅せられていただけでは片手落ち的な感じがある。
それで、曲はスケール大きく、まず、このホールにピッタリと思う。サラウンド配置は客席に客を必要以上に埋めることをしていなくて、空席を多めに取りプレイヤーたちが十分に演奏に集中できるようにしてある。納得のセッティングです。
不安定感を作為的に前面に出したようなファンファーレ、イントロ。不協和音の強調、トーンクラスター風味の塊進行、マーチングバンドの出現、メランコリックな祈りからやや予定調和的なエンディングまで、いろんなものが出てくる。
イントロのファンファーレのような音楽は最初から不安定感をいざなう。イヴェント会場のキャパを誇示するような響きの饗宴は素晴らしい。ホール感が出ていて最初から最高。
次のscreen/sirenのsirenというのは、いわゆるセイレーンなのかサイレンのことなのか判然としない。2階席(ファーストチア)レフトサイドに陣取ったサックス群を中心に音楽が進む。ユニークですね。音デカい。筋のように進行。これにブラスが絡まり、
Channel surfingで音楽は雑然としてくる。日本のテレビは天気予報番組が多すぎて辟易。天気が始まったらチャネル・サーファーになるのですけれど、そういうことをあれこれと多くの人間たちがあちこちでサーフィングすると、ひとつの塊が出来るのであろうか。ここでTKMOの腕に唖然。地響きするサウンド。見事な立体感。パースペクティヴな沸き立ち感。血が騒ぐ。
混沌から一変して、night musicⅠ、Ⅱへ。
Ⅰはさながら真夜中のセントラルパーク、静かに動き回るアニマルたち。進みそうで進みにくい金縛り的トーンクラスター風味の世界へ。この豊かな響きはくだんのCDからは決して得られない。クワハラさんの棒は冴えわたるクラスター指使い。お見事。
Ⅱはナイトミュージックと言いつつ現代の眠らない喧騒がジャジーに出てくる。ここは次のクライマックス、サーカス・マキシマスへの導入のような感じ。
その破天荒なクライマックス、聴き応え見ごたえ満点。オンステージ、ホールフル活用のサラウンド配置、そして1階席をマーチングバンドが歩き回る。
あっという間の出来事だったが、なんだかとっても長い時間に感じた。座席であちこちきょろきょろ見ながら身を乗り出して聴く面白さ。
次の祈り、これこそコリリアーノ音楽のクライマックスとでも言いたげな渾身のクワハラ振り、たっぷりと情感を込めてコリリアーノのフレームを作っていく。ここで音楽が一段と大きくなる。スバラシイ。
そのままフィナーレで最初のシーンが回帰され、斜め45度にかまえた銃とともにパワフルな音楽は究極のサウンドでフィニッシュ。
固まったクワハラ、動かない。すばらしいシーン。
ほっと、一息。
そして、なにやらもう一回デカい音。
40分におよぶ圧倒的なコリリアーノ。そのコリリアーノ節は随所にあれど、祈りでの音楽的感興はやっぱり凄烈な精度で大満足。
佼成ウィンドオーケストラは大迫力でそれにもまして音がきれい。きれいすぎる。この音にしてこのアンサンブル。これにも唖然茫然。この団体あってのパーフェクト・コリリアーノであったと思う。ありがとうございました。
この作品演奏、クレジットがありませんので、日本初演は済ませてあるということなのでしょう。
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ところで、コリリアーノのCDは数あれど、過去ブログから2点ほど。
747- ジョン・コリリアーノ&ボブ・ディラン
0025- ジョン・コリリアーノの息子はジョン・コリリアーノ
0025-のほうのオケは今年来日します。
あと、コリリアーノご本人が登場した演奏会もありましたね。
1369- コリリアーノ、音楽に寄せて、レッドヴァイオリン、グルーバー、フランケンシュタイン!! 読響、下野、2012.6.23
それからシャーマーミュージックの紹介サイト。
(シャーマーはご近所にあって、昔、よく行きました。スコアや音楽雑誌をたくさんおいてましたね)
コリリアーノの作品一覧
以上、コリリアーノ
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後半のレスピーギもの。
まず、一言で言うと、全日本吹コンもツワモノ自衛隊も、勝てないだろう、このきれいなサウンドには、てな具合。
後半1曲目の舞曲とアリア、こだわりの編曲と思いますが、すばらしい色合いのハーモニー、オレンジ色で厚みがあって滔々と流れていく美しさの極みの演奏。ウィンドアンサンブルの極致で堪能しました。美しすぎる演奏。
2曲目のローマの松、終曲のアッピア街道はブラバン的には昔出尽くした感もある中、あらためて、エスカレーターのようなソノリティーが滑らかで美しい、ブラスセクションの登りつめるさまも圧倒的。
まぁ、音色の美しさと言ったら、ボルゲーゼ、カタコンブ、ジャニコロ、松なのか春盛りのお花たくさんなのかわからなくなる。華やかさと静謐さ、幅のある表現。なにもかにもお見事の一言に尽きる。この透明感はしばらく忘れられない。
夢の中にいるようなすばらしいコンサートでした。ありがとうございました。
おわり
10年前に初演されているんですね。
もう少しウオッチしていかないといけませんでしたね。お恥ずかしい話です。
ありがとうございました。
昭和音楽大学吹奏楽部(昭和ウインド・シンフォニー)
で日本初演されたそうです
※Musica Bella Blogさんのブログによる
貴重な情報ありがとうございます。
今度いつ聴けるかわかりませんが、早めに聴きたいです。
日本初演かどうか分かりませんが、2014年に名フィル・ウィンドオーケストラ(c/川瀬)が演奏しています
いい演奏会でした。
コリリアーノの作品はたまに取り上げられることがありますので、逃さず聴いていきたいものです。
また聴きたいです(聴けないでしょうけど、、、機会がありそうにない)
そして、TKWO、音が美しい
レスピーギ(松)は大変な美演で感激しました
クワハラ、良い指揮者でした
クラスター指使い というのですか?
ペンデレツキのやつですよね