カンボジアの食材 6 カメ

カンボジアから   金森正臣(2005.12.27.)

カンボジアの食材 6 カメ

写真:カンボジアで食されているカメ。トンレサップ川の渡し場の食堂に座ると、カメを頭に乗せたおばさんが売りに来た。大きなものは1匹10ドルぐらいで結構高い。骨格標本が欲しかったので、2種類3匹を買った。

 カンボジアでは、カメも食材として売られている。しかし、レストランに置いてあるわけではなく、どこかからかカメ売りが頭に乗せて現れる。これはウドン(プノンペンから北、即ちトンレサップ川の上流40kmほどのところにあるお寺の観光地)の近くのトンレサップ川の渡し場である。国道1号線のメコン川の渡し場(プノンペンより下流、約50km)でも、道路脇に沢山並べている。カメは、渡し場と関係有るのであろうか。他のところではあまり見たことがない。何れも調理したものが売られており、生きたものはない。かなり良く蒸すか焼かれるかしてあり、その後に油が塗られていたりする。

 丁度昼頃で、トンレサップ川の水位を調べるために、渡し場に降りた。調査後、腹が減ったのと幾つかのレストランがあったので、昼食にすることにした。レストランに座ると(全てオープン・エアーで誰でも自由に出入りできる。入り口の扉もない)、直ぐにカメ売りのおばさんがやってきた。同行の教官達に聞くと、皆食べたいと言う。私も標本として骨が欲しかったので買うことにした。食いしん坊の私だから、カメに興味が有ったのは無論である。調理後何日経っているかは不明で、やや心配はしたが、結局買うことにした。

 甲羅の上下は離されており、腹側の甲羅を取り除いて中を食べる。辛みのあるタレが付いてきているので、肉や内臓を手で引きちぎって食べる。肉や内臓は引きちぎれる程度に、熱が通っている。卵のあるのが上等とされる。味は淡泊ながら、なかなか深みがある。この時は地学の教官の若い女性達が3人いたが、何れも好きだと言ってパクついていた。前肢の右、左、後肢の右、左と担当者を決めて、骨が混乱しない様に食べて貰った。

 写真の左端の個体は、手前が頭で、Cuora amboinesis であろうと思われる。英名は、Asian box turtle で、ハコガメの仲間。即ち陸亀である。周辺の各甲羅版の角に黒い斑点がある特徴から判断した。
 写真左から2番目の腹の白いカメ。手前が尾部で、Cyclemys dentate complex と思われる。英名は、Asian leaf turtle で陸亀の仲間。この種類は、色の変異があり、腹面全体が黒くなるもの、黒い斑文が出来るものなどが知られている。
 写真左から3番目で他個体に乗っているのは、手前が頭部で、 Malayemys subtrijuga と思われる。英名は、 Malayan snail-eating turtle で陸亀の仲間ではない。英名からすると、水中のタニシや巻き貝を好んで食べるのだろうか。
 写真右端の個体は、2番目の個体と同じ。陸亀は、前から3番目と4番目の甲羅版のつなぎ部分が、可動性になっており、襲われると頭を引っ込めて腹部の甲羅版を閉めてしまう。頭の部分の隙間が小さくなる。
 陸亀は、 Box turtle と言われる様に、水生のカメよりも甲高が高くなる。また、腹側の甲羅の前側から3番目と4番目の間が動く様になっている。

 この他にも、レストランでスッポンを出すところがある。カンボジアでは、スッポンの仲間も分化しており、4属が知られている。どれが利用されているかはまだ確認ができていない。
 料理としては、ぶつ切りにしたものが唐揚げにしてあったことが有る。その他にはどんな食べ方があるかは不明である。日本の様な鍋料理は聞いたことがない。


注:学名にイタリックを使っても、投稿した時にイタリックが消えてしまう。また下線も引けないので、普通の書体になっている。

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