山津波

山津波

 

皆さんは山津波をご存知だろうか。

私は色々な機会に、何回か体験したことがある。

深く印象に残っているのは、黒部の「上の廊下」に居た時である。

 

薬師岳から薬師沢を下り、黒部の「上の廊下」に出た。上の廊下を遡上する予定であった。まだ黒部ダムは無く、平の渡し(立山の越中岳から後ろ立山の針ノ木岳に出るルート)からも入れたが、時間を短くするために薬師沢から下りた。当時は今よりもラジオの電波が弱く、黒部の谷の中に降りると全く音が入らなかった。低気圧勝が近づいていることは、前日の夜の天気図で知っていた。夕方黒部の谷底について、河原にテントを張った。

 

夜中に雨が降り出し危険を感じて、300メートルぐらいの崖の上に避難した。それから3日間ほど雨は降り続いた。かなりの豪雨で、上の廊下を大きな岩がゴツゴツと音を立てて流れていた。時には岩が川の中でぶつかり、きな臭い臭いがした。トイレを崖から伸びた木の上でしていると、時々川の水量が突然30メートルほども高くなる。どこか上流で山津波が出た時である。その様な時には水の上に大きな岩が浮き上がってくる。恐ろしい破壊力である。

 

その後各地で調査をしている時に、大雨に遭ったことがある。その時に理解したことは、雨の降り方と風の力が働いたときに、急に川の水が増水する。それは気の葉に溜まった水が、一気に風邪で落とされて降った雨と合流し、倍増するからである。また風によって、木の根が持ち上げられ、その中に落ちた水か入りやすくなる。この現象が起こった時に、山津波は起きやすくなる。

 

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大阪の西成

大阪の西成

 

最近テレビで、大阪の西成の映像が流れた。40年ほど前に西成の隣の市立大学の医学部に勤めていた。昼食などによく西成に出かけていた。朝など早い店があるので、朝食を食べにも行った。安くて旨い店が多かったので、結構気に入っていた。しかし朝から狭い道路には、飲んで行き倒れている輩が、あちこちに居た。

 

どんなに変わったのだろうかと、興味を持ってテレビを見た。阿部野も再開発が進んで、アベノハルカスなども出来、町並みは綺麗になっていた。しかし朝から流行っている喫茶店では、モーニングに生ビールが出ていたりして、内容は昔の面影があった。

 

私が勤めていた頃には、年間300人ぐらいの行き倒れが法医学教室に運び込まれ、検死が行われていた。法医学教室の助川教授と仲が良かったので、良く呼び出されて意見を聞かれた。死後の経過時間などの検証のために、実験動物(私の勤め先)室で実験が行われることもあった。また医動物の実習用にシラミを採集したこともあった。一度に、10年分ぐらいの材料が得られた時もあった。

 

アフリカでネズミの採集をしていた時に、タケネズミの仲間に大きなシラミが沢山ついていた。日本の人シラミの3倍ぐらいの大きさで、実習用にはこのくらいの大きさの方が楽なのに思ったことがあった。

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水難事故

水難事故

 

最近の報道で、水難事故が多い。

川でも海であっても、事故の多い原因に成長の過程での経験不足がある。

我々の子ども時代でも水難事故はあったが、報道を見ていて基本的体験が不足している。

 

水の中に入ると、底の小石を踏んだ時に、明らかに陸上とは異なった感覚がある。石と石が踏んだ力でズレル感覚は、危険を察知する最初の違和感だ。これと水の流れの速さによって、足がすくわれる。これは海における波でも同じ感覚がある。これによって危険を察知し、次の態勢の準備をする。浮かんで次の行動に出るか、踏ん張ることが出来るのか。

この様な行動は、経験によってしか獲得できない。

 

ITの教育はいくら行っても、知識は増えるが体験にはならない。この様な成長期における体験の積み重ねが、自分の身を守る。疲労や熱中症に対する感覚も、同じように体験によって防ぐすべが獲得される。

 

今後の子どもたちの成長には、重要な事項として単純な体験があるのではないであろうか。

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山の遭難

山の遭難

 

しばらくご無沙汰していました。

やはり夏バテのようで、休んでいることが多くなりました。しかし普通に暮らしてはいます。

 

最近新聞を見ていると、山での遭難が多い。この頃驚いたのは、剣岳の八つ峰での40代女性の遭難である。

 

八つ峰は、通常の登山道ではなく、大学の山岳部などの初級の訓練コースだ。通常の登山道で行けば、雷鳥沢から剣岳に上りその先の岩尾根である。こんなところに通常の登山者が迷い込むのは不思議である。大学の山岳部でも、八つ峰は単独で歩くことは無い。いかに訓練とはいえ、通常は複数で行く。

 

考えてみると、普通の登山者が、迷い込むほど事前の知識が乏しいように思われる。

 

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ちょっと夏バテ

ちょっと夏バテ

 

最近夏バテで、少し活動が鈍っています。徐々に回復傾向にあるので、もう少しです。

 

ところで、最近水の事故が良く報道されています。休んでいる間に、太田堯さんの「なぜ学校に行くのか」を読み直していました。この本の中に、『体にめり込んだ知識』と言うのが紹介されています。これは本や見分で学んだことではなく、自分の体で繰り返し経験した知識のことです。

 

私たちの子どもの頃は、田舎ではプールなどは無く、川で泳いでいました。千曲川の上流でしたから水は冷たく、17度になれば泳いでも良いことになっていました。しかし子どもたちは、魚も欲しいし水遊びも大好きですから、あまり温度などは気にせず、寒くなると日当たりの良いところの石に抱きついて暖を取り、また川遊びをしました。全く水難事故がなかったわけではありませんが、急流の深みにはまることは十分想定して遊んでいました。今日の事故のように、簡単に溺れることはありません。皆仲間の事故の時には、すぐに助けていました。

 

川の中で、足がすくわれるぐらいのことは何時もありましたが、対処法もみな体得していました。この点で現在の子どもたちは、[体にめり込んだ知恵]を得られていないように思われます。これが思考の発展にも影響しているように思います。

 

 

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