農耕祭のウシ       

農耕祭のウシ       2009.5.29.  金森正臣

 カンボジアでは、5月12日から15日まで前王様のシアヌーク王の誕生日で、国の祭日で休みである。現在の新国王よりも大きなお祭りになる。クメール正月が4月に有り、3日間であるはずが、10日ぐらいの連休にして皆地方に帰る。続いて5月の前国王の誕生日の休み。クメール正月は、皆それぞれの郷里に帰るが、国王の誕生日には外国に出る人も多く、4月の初旬から空の便は満席で席が取れない事態が起こる。外人としての我々は、なかなか不便だ。

 王様の誕生日の中で、王宮前で、農耕祭が行われる。数頭の牛が、鋤を引いて耕し、今年の豊作を祈念する。ある朝散歩をしていたら、妙な位置から大音響の国歌が流れ、続いてラッパの音や太鼓の音など、かなり勇ましい。近づいて見ると、この写真。牛が音楽や大音響を聞かされていた。

 たぶん農耕祭の時に、軍楽隊の音楽で牛が驚かないように訓練をされているらしい。写真の牛の角を見ると、角が赤く塗られ、緑の布を背にかけられ、鋤を引かされている。カンボジアでは、全ての農耕は2頭立てで行われる。コブウシだから痩せてはいるが、なかなか立派な体格である。

 数年前に、この付近に住んでいた頃、大きな牛がここで飼われているのを見ていたが、なにのためであるかは不明であった。牛乳を絞っている風でもなかったし、作業がある様でもなかった。町の公園の一角に木陰が有って、そこにのんびりと過ごしている。それが農耕祭用の牛であるとやっと判明した。
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スタデーツアー

スタデーツアー     2009.5.23. 金森正臣

 カンボジア国際教育支援基金で派遣する先生達の、スタデーツアーが決まった。6月8日から16日まで、カンボジアを見て頂く。6月8日の夕方、プノンペン空港でお迎えし、以降プノンペン、プレイベン、シェムリアップと回る予定。

 派遣に際して、生活や働く環境などをなるべく理解できるように計画したい。私自身が初めて外国に行ったのは、40歳に近く、韓国だったと思う。最初の頃は、いつも1回ぐらいは、体のトラブルを経験していたように思う。最初の韓国は、阪大の微生物研究所の皆さんが行った、北との軍事境界線の近くで発生した流行性出血熱の調査に参加した。11月だったと思うが、雪が降る寒い河原で、ソンロンタン(最も辛いと言われている魚の鍋)を麦ご飯にかけて食べた。当時は、韓国は軍事費が37%とかで、みな貧しく食べ物も裕福ではなかった。その後、エジプト、コロンビアと調査に参加したが、いつも出かける前にはかなりの緊張が有った。何が緊張感の原因であったかを思い出して、なるべく緊張感を少なくして仕事が始まる様にしたい。韓国での数回の調査やアフリカでの調査、カンボジアでの支援をしているうちに、次第に緊張感が無くなり、次はどこに移動して仕事をするのかと、日常の中の変化にくらいにしか感じなくなっている。初心に戻って、案内することが大切であろう。

 カンボジアは、アフリカに比べると生活しやすく、天国の様な国である。しかしカンボジアに見えた皆さんの中にも、いろいろの感想が有り、もう来たくないと言った方もおられる。生活の中での一番の心配は、健康であろう。ヒトの体は、抗体を作って、外部からの侵入者に対抗する能力を持っている。ところが現在の日本では、薬を使うことが多く、抗体をつくる能力が落ちているように思われる。下痢や風邪も、体調を悪くしないようにして、数日が過ぎると抗体が勝つようになってくる。抗体をつくるには、酵素の活性を高くするために熱を出して、活性を高める。これが熱であるが、現在の日本人は必要以上に薬を使って、熱を下げる。そのために、抗体ができるのが遅くなり、症状が長引く。下痢などは、少しずつ菌を入れて、次第に慣らすと1週間ぐらいで菌に対抗できるようになる。この辺のノウハウは、どの様にして伝えたらよいのであろうか。

 ともかくも、皆さんに楽しんで頂いて、カンボジアに来ることへの抵抗感を少なくしたい。生活するアパートのイメージを体験していただき、またいろいろな物を食べて頂いて、楽しく体験してもらいたいと思っている。添乗員をするのは、初めてであるが、楽しみでもある。
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オニサヨリ?

オニサヨリ?     2009.5.17.  金森正臣

 海辺の町シアヌークビルの魚の市場で見かけた魚。名前は分からないが、口の形からすれば、サヨリの仲間?日本のサヨリよりは、上顎がやや長い。体長は1メートル近くある大物が山積み。プラスチックのバケツは、普通の20リットルぐらい。その手前にあるのは、やや小型であるがカツオ。他の店にもやはり山積みされていた。結構この時期には普通の魚の様だ。しかし、オニサヨリと言う魚は見当たらず、ホシザヨリ(Hemiramphus far Forsskål, 1775 全長60cmほどに達する。下あごが長く、和名のとおり体側に黒い斑点が数個点在する。インド洋・西太平洋・地中海東部まで分布し、日本では西日本の太平洋側に分布する。ウキペディア)に近いようにも思われる。

 売り手のおばさんは、ウナギをさばくように、背割で裂いて背骨を抜く。裂いたものが、バケツの右手に積み上げてあるのが見える。どの様にして食べるのだろうか。蒲焼の文化は無いから、塩焼きであろうか。それとも干してからか。カンボジアでは良く干してから、焼いて食べる。水分が少なくなり、味が締まる。 
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シダを食べる     

シダを食べる     2009.5.14. 金森正臣

 久しぶりに海岸の町、シアヌークビルに観察に出かけた。手前にあるレアム国立公園は、マングローブ林で知られた場所で、そこの見学もした。その際に見かけたのが、この光景。

 マングロ-ブ林には、ドロガニ(ノコギリガザミ:マングローブガニ)が沢山住んでおり、漁師たちはそれを目当てに漁をする。最近は取り過ぎてやや小型化しているように思われる。漁法も昔は、手掴みが主体であったが、現在は籠も使っている。このカニは、ハサミが大きく、美味い。しかしすごい力が有り、挟まれると手に穴が開いたりする。

 そこの漁師さんたちが、昼飯の準備をしており、マングローブに普通に見られる1-1.5メートルになるシダの若芽を煮ていた。海水も入る場所に出るこのシダは、満水時には根が海水をかぶっている。写真は、取って来たシダの若芽を小型の斧で切って、それを斧でつぶしてから鍋に入れた。そのまま食べる様であった。日本でも、山菜のコゴミなどはアクが無いので、茹でてそのまま美味い。どんな味がするだろうと興味が有ったが、まだ食べるには早そうだったので、あきらめた。

 東アフリカにも立派なワラビが有り、私は灰を使ってアク抜きをして食べていた。しかし地元には、アク抜きをする技術が無く、アフリカ人はたべていなかった。食の文化の多様性は、興味が尽きない。
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男と女カンボジア事情

男と女カンボジア事情   2009.5.11.
          
             NIEサイエンスアドバイザー
             カンボジア国際教育基金理事 金森正臣

 カンボジアの男女関係を観察していると、日本とはかなり異なることが気になる。日本でも地域によって相当な相違があるが、それとは異なった構造的な相違がある。日本でも、東京の様に隣近所がほとんど知らない人である場合と、田舎や小さな港町で、ほとんど顔見知りの場合では、男女関係の社会における表現方法はかなり異なる。

 動物の世界では、社会が大きくなると、メス・オス関係に様々な制限ができ上って来る。そもそも動物が単独で生活し、社会が無かった時代には、社会的ルールは存在しなかった。社会(2個体以上集まった場合)には、利害関係が生じ、ルールが出来上がって来る。特に3個体以上が集まると、性に関しては必ず競争関係が起こる。善と悪が生じるのも社会ができた時からで、それ以前には全ては個体の責任で、善悪は存在しない。社会を乱す原因が、悪となる。ヒトにおける男女関係も、人が集団で生活するから、様々な制約が生じる。過度な性的表現は、他の人を刺激することになり、混乱を引き起こし易いから、様々なタブーが出来上がって来る。

 一般にカンボジアの男女は、日本よりも人前での接触が多い。結構中年の夫婦でも、手をつないで歩いている。しかしこれはプノンペンに限ったことで、田舎に行くとそのような光景は見られない。特にプノンペンの若者の間では、公園でも道路でも、人前をはばからずにキスをしたり抱擁したりしている。しかし行動学的に見ると、その接触場所は、意外に男女関係の初期的状態を示している。
 イギリスの動物行動学者デスモンド・モリスは、30年以上前に、人間の行動を動物行動学的に分析して「マン・ウヲッチング」を書いた。動物は言葉を話さないから、動物行動学は、行動の観察からその動物の意味するところを分析する。この方法を人間に応用した。教室での授業を観察していても、多くの先生は子どもの言葉に騙されるが、私などはその裏にある子どもの意図を読み取ることが多い。人はしばしば、自分の本音を隠して相手の意図に迎合することが有る。多くの人は、その言葉が、自分に都合の良いものであれば、それに従う。動物園で動物行動学の実習をしていた時に、学生に恋人の状態を行動から観察する方法を例として話したら、半数以上の学生が動物では無く、動物園に来たデートをしている人を対象に観察を行っていた。人間にとって、男女間の関係は、いかに関心が高いかを示している。恋人の関係の深まりは、その行動に表れており、ごまかすことはできない。同じように夫婦間が冷えて来ると、明確に行動に表れてくる。プノンペンにも、外人相手の多くの街娼婦たちがいる。本当の恋人同士と異なって、仲良さそうに腕を組んで歩いていても、体の表現のどこかに、相手に従っていない部分が存在することが多い。決して心まで売っていない彼女らの自尊心の表れの様に感じ、あっぱれだと思う。夫婦間でも冷めて来ると、同じような行動が観察される。

社会が成熟してくると、様々なルールも成熟し、社会を安定させるために一定の方向性を持っている。しかし成熟を過ぎて、崩壊を始めると様々なルールが崩れてくる。日本の若者たちのルール変化は、成熟後に行き詰って、変化が起こっているように思われる。成熟してから崩壊するにはかなりの時間がかかるのが普通で、日本でも戦後から考えても60年以上かかっている。
カンボジアの場合は、古くからあった社会的ルールがポルポト時代にほとんど壊されて、その後に始まった社会で、これからルールが出来上がる過程にあると思われる。地方での男女のルールは、古くからのものが残っており、それが見られるのであろう。
男女間のキスや抱擁は、遊牧民社会から発展したヨーロッパ文化に普通な現象で、アジアの農耕民の間では、あまり見られなかった。キリスト教社会では、「汝の敵を愛せよ」と言うが、仏教社会では、この様な言葉は無い。単独で行動する遊牧民では、全ては競争相手で敵であるが、仏教世界は農業を中心とした集団生活の中に発展しており、隣人を敵視する習慣は無い。握手をしたり抱擁をしたりすることは、単独で行動する遊牧民社会において、相手に敵意を持っていないことを絶えず知らせなければならない状態から発展している。

女性は良く化粧をするが、最近では男性もしている人が多い。なにのために化粧をするのであろうかと考えると、結果は明白で、どの様な理由をつけようとも、いかに相手に自分を印象付けるかにある。即ち、異性に自分を売り込むためである。唇を赤くすることや胸を大きく見せることは、モリスが「マン・ヲッチング」の中で示したように、性的象徴を表わしていろ。女性の化粧はいかに男性を引き付けられるかが、勝負であり、男性のダンディズムは、いかに女性を引き付けられるかに目的がある。髪形や服装も同じような役割を持っている。ボディーラインを見えるようにしたり、肌を多く露出したりするのもこのカテゴリーに入る。それにしてもカンボジアの市場で売られている、ブラジャーの増量剤の多さには感心する。日本ではあまり見たことが無いが、どなたか比較したことが有るだろうか。成熟した社会では、他に対する過度の刺激は、ハシタナイなどと非難の対象になる。
この様な男女間の行動から見ると、プノンペンの社会では、崩れたものの上にこれからルールーが出来て行くように思われる。


写真説明:朝の公園の端で若い男女が戯れていた。


この文章は、「カンボジア日本人会」の会報に書いたものです。
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曇り後晴れ後雨 復活

曇り後晴れ後雨 復活    2009.5.5. 金森正臣

 先日来苦労していた風邪も、今日はすっかり良くなった。しかし、朝家を出ようとしたら雨が来て出鼻をくじかれた。しばらく家でお茶を飲みながら、グズグズ。間もなく10分ほどで小降りになったので、勤め先まで歩いた。

 仕事を始めてみると、風邪が抜けるとこんなに楽かと言うくらい進む。やはり昨日までは、能率が悪かったようだ。特に苦痛も感じていなかったが、やはりいろいろ調子が悪かったようだ。昼食後には、電話代を払ったり、インターネット代を払ったりあちこち会社を走り回った。汗が出るとのどが渇くが、それでまた循環が良くなって、活性が戻って来る。

 今年も雨期が進んで、各種の花が沢山咲き始めた。窓の下のゴールデンシャワーも満開。今朝3日振りに散歩に出てメコン川を見たら、なんとなく水位が上がり始めているように感じた。すべたが新鮮に感じられるのは、やはり体の調子か。
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寝疲れた      

寝疲れた      2009.5.3. 金森正臣

 江戸時代のザレ歌に「世の中で、寝るほど楽は、なかりけり、浮世の馬鹿は、起きて働く」と言うのが有る。でもこの3日間、毎日雨が降るので、雨量測定に勤め先に出ていたが、疲れてなるべく早く帰り家で寝ていた。一昨日などは、午後3時ころから寝始めて、起きたら次の朝8時ころだった。多少熱もあったのか、寝疲れて腰は痛いし背中も痛い。先の歌は、まじめに働いていた人が読んだものだろうと妙に関心。正岡子規なども病床が長かったから、寝るのに結構疲れていただろう。

 昨夜も中ころまでは、咳は出る、鼻水は出るでウトウトとしか眠れなかった。まだ抗体は上がってこないのかと、うすぼんやりと考えていた。でも3時ころに起きて顔を洗いうがいをしたらスッキリ。朝6時ころに起きた時には気分を良くなっていた。また多少はせきが出るが、熱も無くなったのか食欲も出て、なんとか原状復帰。

 外国で一人暮らしをしていると、健康状態が悪くなると、日本にいる以上に注意深くなる。ダメになるにはまだだいぶ間が有ると思いながら、今までのいろいろの経験から、あまり不安は持っていない。いろいろな経験をさせていただいた、巡り合わせに感謝している。

 働けるのは、やはり有り難い。
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今日は風邪ひき     

今日は風邪ひき     2009.5.1. 金森正臣

 4月24日に日本から帰り、飛行機の中で風邪をひいたらしい。作った本の校正を急いでいたので、なんとなく飛行機の中で油断して眠っていた。ウトウトしながら、校正しては眠り、目が覚めると校正するようなことをしていたのが、悪かったらしい。

 その後日本からCIESF(カンボジア国際教育支援基金)のメンバーが、カンボジアに来て、副首相に会ったり大臣に会ったり。カンボジアのオフィースは、クラーが効いて結構寒くしているから、暑い外から汗をかいて入ると、風邪にかかり易い。もう年だから仕方ないようにも思う。トリインフルエンザかなー、ブタインフルエンザかなー。あまり流行には敏感ではないが。アーシンド。きっと明日には抗体が上がって、楽になるだろう。

 今日はメーデーで、休日。カンボジアは、休みが非常に多い。
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