カンボジアの交通事情 4 交通事故

カンボジアから   金森正臣(2005.12.21.)

カンボジアの交通事情 4 交通事故

写真:交通事故で転がっているモト。まだ事故を起こして数分であろうか。道路の向こう側にいる車とぶつかったらしい。車の前方のドアの部分がへこんでいる。右手前の道から出てきたモトが、直進してきた車の左側面に衝突。モトもあまり壊れていなかったので、大けがではなかった様だ(カンボジアは、車は右側通行)。

 家の周囲でも、交通事故は頻繁に起きている。この写真は、勤務先から帰る時に見かけたものである。交差点の出会い頭の衝突であろう。カンボジアでは、モトも車もしっかりした運転技術は、学んでいない。交通ルールもほとんど学んでいない。このため左右の安全確認をしないまま、脇道から出る運転手は多い。また、自動車の運転者の技術は極めて未熟で、多くが内輪差を理解していない。

 カンボジアの普通のルールでは、事故はその場で示談にする。双方が話し合って、合意できたところで示談になる。警察や弁護士、保険会社を間に入れることは少ない様だ。時間がかかる上にお金もかかるのが、嫌われる理由らしい。多くはお金のある方が払うのだと言う。

 数ヶ月前の夜間に、住んでいる家の脇の交差点で交通事故があった。車にモトがぶつかったらしいのだが、車がそのまま逃げてしまった。通りかかった運転手が、逃げる車に向かってピストルで発砲する事件があった。
 ピストルや銃は、一応規制されているが、所持している人は多い。路上で一斉に銃の所持検査をすることがあり、モトの座席の下からピストルが見つかることもしばしばである。勤務先から200m位離れた中華レストランの調理人が、調理場の脇でピストルを2丁磨いているのを見たこともある。昨年は、家を探して貰った不動産屋の兄ちゃんが、女のことでもめて喫茶店で撃ち殺された。また、一緒に生活しているカンボジア人の青年のおじさんも、昨年ピストルで撃たれて死んでいる。

 しかし、カンボジアは極めて危険かというとそうでもない。最近は理由無く銃を使うことはない様だ。それなりの理由があって使う様だ。しかし、ピストルも地雷も安く、市民が簡単に手にすることが出来るのが現状である。
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カンボジアの交通事情 3 我先にと割り込む文化

カンボジアから   金森正臣(2005.12.21.)

カンボジアの交通事情 3 我先にと割り込む文化

写真;これは市場の中の風景である。狭い通路に沢山の荷物を積んだモトが入り込む。更に相手がいることも無視して入り込むから糞詰まる。向こう側に見える篭は、対向側から入ってきたモト。詰まってから物事を考えるのが、カンボジア流。なかなか先の見通しが立たない。カンボジア人はせっかちの様に見えるし、自分勝手の様に見えるが、必ずしもそうでもない。理解するのには、なかなか時間がかかる。

 カンボジアの庶民の足は、モトと呼ばれるバイクだ。一番人気は、ホンダのスーパーカブ。でもかなり高いので、勢い韓国製などの安いものになる。しかし、シートや方々に、HONDAと書いてある。だからといって性能が上がるわけでもないのだが。
 このモトは、輸送手段でもある。市場のおばさん達は仕入れたものを、全てモトに積み込んでくる。ドライバーの前後にも、シートにも山ほどの荷物となる。乗らない部分は、振り分け荷物にして左右にぶら下げる。写真でご覧の様に、モトの車幅は倍以上に拡大する。おばさんはこの荷物の上に乗っていたりするから、ドライバーの頭の上に乗っている様に見えることもある。ヒト以外の重さも、100kgは優に超えて乗せている。良くバイクが持つと感心する。最も、積み過ぎるとさすがに馬力が足りなくなり、ゴトゴトとゆっくりしか走れなくなったりしている。

 そのモトによって、市場の中の狭い通路の奧まで荷物を運ぼうとするから、くだんのごとく成る。これでは絶対に通れないのだが、糞詰まるまで前進する。詰まったところでお互いに、あれこれ工夫して通過する。ここで喧嘩にならないところは、カンボジアの特徴で、権利を主張して言い争うことも少ない。一生懸命に工夫して、そのまま通ろうとする。この場合も争いもなく、一部の荷物を下ろしてお互いに通過した。
 日本の場合にこの様なことになったら如何であろうか。多分どちらが早く入ったとか、どちらが正しいから下がらないとか言い争いになるのが関の山であろう。最も見通せる幅の広い場所で、あとから来たモトが、待つのかも知れない。
 この様な社会的行動の差を見ていると、文化の差がまざまざと感じられる。いったいどの様な条件が、この文化の差を生み出しているのだろうか。多分、自然環境も寿命も、仏教もいろいろ関係しているのであろう。

 以前にクメール正月に、地方に出かけたことがある。カンボジア人の多くは、クメール正月は自分の田舎に帰る。そのためプノンペンは2-3日ガラガラになる。従って地方への幹線は混み合う。国道6号線のプノンペンから1時間ぐらいのところで渋滞が起こって、なかなか動かなくなった。ここでも我先に割り込もうとするから、対向車線までいっぱいになり、当然渋滞は更に激しくなる。1時間位をかけて200m位を動いたら、渋滞の原因が判明した。モトと自動車が衝突し、4人ぐらいで乗っていたモトの1人が死亡していた。それを道路上に放り出したまま、両側を通ろうとするから、当然渋滞になる。さすがに死亡事故であると、その場で示談と言うわけにも行かず、お巡りさんが来るまで事故者を動かすことが出来なかった様だ。この時には帰りにも、私たちの車の2台ほど前が、モトにぶつかって乗っていた1人は、死亡した様だった。しかし他の車は、事故者を放り出したままどんどん通り過ぎて行った。結構交通事故が多いので、関わっていられないのであろう。
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