カンボジアの食材 1 カボチャ

カンボジアから   金森正臣(2005.12.19.)

カンボジアの食材 1 カボチャ

写真:手前にあるのがカボチャで、市場の風景である。この様に中が稔っていることを切って見せている。その奥の黒っぽいボール状のものはサトイモである。カンボジアのサトイモは、ほとんど粘りがない。丁度日本のキョウイモ(京芋)と呼ばれているものに近い。各種のスープに入れたり、そのまま茹でただけで塩などを付けて食べたりする。茹でたものは、良く女性が笊に入れて頭の上に載せ、売り歩いている。1ー2個100リエル(3円弱)ぐらいで、子ども達のおやつになっている。右手中央のやや黄土色は、野菜としての青パパイヤで先日書いたものである。この写真は、昨年撮ったものなので、やはり青パパイヤは見ていたのだが、記憶に残っていなかった。気が付いていないと、見ていても見えていないのだ。右手の奥の緑色の大きなボールは、パンノキの実で、薄切りにしてスープなどの具にする。

 カンボジアの語源はカボチャであると言われている。カンボジア人もそうだと言うから、多分そうであろう。カンボジアでは驚くほど多様な食材を利用している。しかしながら、食材を紹介するに当たって、まずは国名に因んだカボチャに敬意を払って、カボチャから紹介しよう。カボチャはどこの国でも珍しくもない。あまり一般的な食材は紹介しないが、カボチャだけ特別扱いである。

 カンボジアのカボチャは、ご覧の様に円形で比較的扁平であるものが多い。日本の球形で、硬いクリカボチャと呼ばれるタイプは、あまり見ない。西洋カボチャと呼んでいたものに形が似ている。幾つかの溝があり、小さなでこぼこがあり、日本ではチリメンと呼んでいたタイプである。
 味の方は日本人からすれば、イマイチ締まりが無く水っぽい。日本人に好まれる、ほくほくと甘い感じではない。私は小さい時、このほくほくと甘いカボチャが苦手で、食べると胸焼けがするので、なるべく食べない様にしていた。どちらかというと末成りの水っぽい方が好きであったが、いつの間にか好みが変わって、ほくほくの甘味の強いものが好きになっている。女房が、カボチャの甘い煮付けが好きだった影響の様な気がする。
 アフリカにもカボチャが栽培されている。日本のクリカボチャに近い形で、大小は様々である。山の中の集落で貰ったものは、一抱えもある大きさで、どれも硬くて割るのに一苦労した。包丁では歯が立たず、山刀(パンガと呼ばれる刃渡り45センチ、幅10センチぐらいの青竜刀の様な形の刃物)でたたき割ったこともあるし、斧で割ってから山刀で切ったこともある。味は日本のクリカボチャ様で、水分が少なくホクホクと甘かった。塩味だけで煮て、食事の代わりにしたこともある。
 日本やアフリカのものと比較するとカンボジアのカボチャは、何とも甘味が少ない。最も料理法も、カボチャを単独で煮る様な料理はなく、スープの具にしている場合が多い。またデザートとして、やや小さめなカボチャの中をくり抜き、プリン状の甘味を詰めて蒸し、カボチャプリンとして人気がある。今勤めている教員養成学校の片隅の食堂でも、カボチャプリンは学生達に人気がある様だ。
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