ハデ派手 カンボジア事情

ハデ派手 カンボジア事情   2010.3.14.  金森正臣

 カンボジア人は、派手好きで日本人の感覚とはかなり違う。例えばお金持ちになるとすぐに高級車を買ったり、派手な豪邸を建てたりする。タケオの街のプノンペン側からの入り口の道路わきには、ある方の豪邸がある。また独立記念塔のわきにも、お城のような豪邸があり、ヘリポートまであって異彩を放っている。日本ではほとんど見かけることのないアメリカの軍用車、ハマーもかなり市内を走っている。現在のカンボジアで、ハマーで走る必要性はほとんどない。ちょっと規模は小さくなるが、ランクルやレクサスが多いのも、同じ現象であろう。金持ちを誇示し、威厳を示そうとする。日本だと成金趣味と、さげすまれるのが落ちである。

 目立ちたがり屋傾向は、女性の方が強いかもしれない。カンボジアの女性は、肌を露にして、性的魅力をアピールすることが多い。結婚式などに行くと、背中側はほとんど何もなく、ブラジャーをしていないのをアピールしている。どんな意図でしているのかは聞いてみたことはないが、既に売れてしまっている女性が、誰にアピールしているのだろうか(写真1、これは記念式典の折)。微妙な感覚で、肌をより多く示すことが、より魅力的と思っているようだ。まだ日本の大学に勤めていた頃に、入学してきた中に、性的アピールに熱心な女子学生がいた。学年が進むに従って、ますます派手になるので、「目立ちたかったら、裸だぞ!」とからかったら、学生曰く、それまですると異常者扱いされるからと遠慮していた。カンボジアでも同じらしく、裸にまでなってしまうと、やはり異常者扱いらしい。ある朝散歩していたら、一人の女性が歩きながら突然シャツなどを脱ぎ始めた。しばらくしたら、ブラジャーを外し、最後には、丸裸になってしまった。警察官も数人で遠巻きにしているだけで、誰も静止しようとはしなかった。多分、だれも被害を受けるわけでもなし、と言ったところなのだろう。日本では、男性歌手がヌードを演じて、逮捕され話題になっていた。日本でお巡りさんが見ていたら、当然のようにわいせつ物陳列罪ですぐ逮捕であろう。ここまで来ると一応異常者扱いであろうが、カンボジアのお巡りさんはなかなか大らかだ。

 日本の文化では、ハデハデ思考は、抑制されている。論語の中でも「巧言令色、仁無きなり」などがよく知られており、「能ある鷹は、爪を隠す」、「不言実行」の諺などでも、何につけても表に直接表すことを慎む傾向がある。能力や自分の力についてもかくの通りで、性的アピールなどになると、その傾向は一層強い。

 カンボジアのあるホテルを見ていたら、表側は4階建てのように見えるが、実際には3階までしかなく、びっくりしたことがある。多分日本ではこのような見せかけでは、かえって客の信用をなくすことになるであろう。日本では孔子の教え(儒教)の影響が強く、道徳としての社会規範がしかりしている。禅の実践者である鈴木大拙博士は、道徳は道徳でしかなく、越えれば其れは既に道徳では無くなる。道徳は人を縛るが、仏教は人を自由にすると言っている。仏教の最終段階は、無碍自在と言う。また、「仏教は無我にて候」と言われ、自己を滅却したところにあるとされる。そこには自己アピールなどは、存在しない。儒教にしても仏教にしても、日本の文化では、自己主張はほどほどに抑制されている。カンボジアの上座部仏教は、自由なのだろう。このような文化の相違は、乗り越えるのがなかなか難しい。

 この文章は、日本人会の会報のために書いたものです。
最近、年をとって体力がなくなったのと、仕事が忙しくなったので、なかなかブログを書いている余裕がなくなり、更新できませんがお許しください。まだしばらくカンボジアで、支援を続ける予定ですので、時々更新いたします。
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