カンボジア交通事情 2 交通事情

カンボジアから   金森正臣(2005.12.3.)

カンボジア交通事情 2 交通事情

写真:モトに一家4人で乗っている。小さな子どもはイヌと同じ位置に乗っている。

 カンボジアにおける公共交通機関は未整備で、鉄道がプノンペンから2本地方の都市に出ているが、遅い上に毎日運転ではく、週に2回程度であるからあまり利用価値はない。地方の主要都市には、プノンペンから定期バスが走る様になり、数社が競争している。これはだいたい日本のバスを想像してあまり違いはない。予約の切符も買える。それより安いものに、ワンボックスカーを改良したものがあり、呼び込みのお兄さんがいて、行く方向が分かる仕掛けになっている。これには予約制はない。だいたい出る場所は決まっていて、客はそれぞれ目指すところの場所を知っている。お客が集まり次第出かけるので、時間は正確には行かない。ぎゅうぎゅうに詰めて、ハイエースクラスで20人ぐらいも乗っていることがある。アフリカでもそうであるが、だいたいバンのスプリングやシャーシーはトラックのものと変えてある。日本の定員の数倍の重量がかかるから、スプリングが耐えられない。更に安いものに、小型トラックを改造したものがあり、1-2トンの荷台に座席を縦に2列作ってあって、やはり20人ぐらいが乗る。ホロがかけてあるものには、ホロの上にも乗るため、居眠りをした乗客が転がり落ちて死亡する事故もあると聞く。バスやトラックの後ろにバイクも2-3台縛り付けてあるのを時々見かける。数Kmから10Kmくらいの移動には、バイクにリヤカーを引いた様な乗り物がある。かなり長い大きなリヤカーを作ってあり、横に板を渡して座席にしている。30人ぐらいも乗っていることがあり、縫製工場の女工さんなどが通勤によく使っている。私は乗ったことがないが、聞くところに依ると10円ぐらい単位で乗っているのではないかと思われる。
 市内で最も多くの人が利用しているのは、モトと呼んでいるバイクタクシーである。以前は、50ccのホンダのスーパーカブが多かったが、最近は100cc程度にグレードアップしている。新しい物も多くなったが、日本や韓国からの中古品が主流である。昨年日本に帰った頃(10月末)にはあまり目立たなかったが、この3月に来てみるとオフロードのバイクや大型のバイクが目立つ様になった。白バイも増えたが、125cc(これが主流)から250cc(これは希)程度で、町に氾濫するバイクの成長に追いつかなくなっている。パトカーもあるが、事情は似た様な物である。
このモトは、庶民の移動手段でもあり、荷物運搬の手段でもある。現在は3人乗りが多くなったが、以前は4人・5人も乗っているのを良く見た。お父さんが運転して、一家5人を乗せている風景もよく見かけ、何人まで乗っているだろうかと皆で数えたこともある。最高は6人まであったことを覚えている。乗る人数が少なくなったのは、経済的に良くなったからであろう。カンボジア人は歩くのが嫌いで、直ぐ近くでもモトを利用する。
 モトは荷物の運搬の手段としても重要で、市場のおばさん達は、今日売る荷物を満載してその上に自分が乗ってしまう。運転手の頭の高さぐらいに腰掛けている。魚の入った箱の上だったり、野菜の束の上だったりする。その様な場合には運転手は、ハンドルとの間にも沢山荷物を載せ、まるで荷物に埋もれて運転している。
 外人の観光客用に最近増えているのがツクツクと呼ばれる、バイクにリヤカーを引かせてホロをかけ、座席を横2列にした乗り物である。以前からシェムリアップ(アンコールワットのある観光の町)にはあったが、プノンペンでは最近1年くらいの間に増えた。シェムリアップで乗ったことがあるが、町中の移動に観光客には2ドルとか言うが、交渉次第では1000リエル(4分の1ドル)で乗れる。プノンペンでも外国人にはかなり吹っかけているようだ。主に観光客が相手なので、外人客が多く、貨幣価値が掴めないまま本国との比較で安いと判断して、高額を払うのだろう。この様なドライバーには擦れているのが多く、乗る前に値段を十分に交渉しておく必要がある。アフリカの調査でも、奥地の町で英語を使って話しかけてくるのは、外人相手に一儲けしようとしているのが多いので、あまり雇わないことにしていた。どこの国も同じ様な傾向にあると思われる。
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