カンボジアの食材 2 ホテイアオイの花

カンボジアから   金森正臣(2005.12.20.)

カンボジアの食材 2 ホテイアオイの花

写真:中央薄紫が、市場で売られているホテイアオイの花。その左下の篭の茶色い鞘は、タマリンド(マメ科の種子:種子と鞘の間の部分をスープなどの酸味料に使う)。その奥の篭の緑色のものは、タマリンドの若い鞘。潰して酸味料として使う。手前右手の赤い桶に入っているのは「カニ」。でもこのカニは淡水産で、生の塩漬けだから、味は良いがいろいろ問題がある。更に右手にはアジが見える。ホテイアオイの右手は、ユウガオの仲間。その下の白いピンポン球様は、生で食べるナス。奧に向かって、青いマンゴー、白いキノコ、ヘチマなどが見られる。値段は交渉次第。

 カンボジアでは、野菜としてホテイアオイの花が市場で売られている。主にスープに具として使われる。魚のぶつ切りか豚肉が入っていることが多い。しかしホテイアオイの花は、煮てしまうとほとんど気が付かない。まだ咲く前の蕾状態のものを、花茎と共に柔らかいところから摘み取り、綺麗に束ねてある。それほど多い食材ではないが、何時もどこかで見かける。

 熱帯では普通の浮遊生の植物で、大きな池では大群落を造る。トンレサップ湖で見たものは、草丈が1メートルを超えており、日本のホテイアオイとは別物かと思うほどである。カンボジアでは、どこの湿地や池にも見られるもので、子ども達が小遣い稼ぎに取っている。あまり草が茂りすぎると、花は咲かない様だ。
 草の柔らかいところは、水牛が食べているのを見たことがあるが、あまり好んではいない様だった。

 日本でも富栄養化した池に繁茂する。或いは富栄養化した水質の改善のために、ホテイアオイを使っている。大府の池では、鳥の好きだった小川先生と市民団体が、この試みをしている。温度さえ十分であれば、非常に旺盛に成長する。しかし水分が多く、重くなるので引き上げて、水の循環から栄養分を外に出すのは容易ではない。知多半島の先の方のウの繁殖地付近の池で、非常に繁茂しているのを見たことがある。しかし日本では11月になると温度が足りなくなり、枯れて元の水の循環に栄養分は戻って行く。
 一般には、金魚鉢の観賞用などとして売られている。春先などは1株30円もしているが、ほとんど手数料であろう。
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