友人 2

友人 2  2012.6.2.  金森正臣

 最近、プノンペンで、友人の末っ子の結婚式があった。友人夫婦とは10年以上の付き合いであるが、私がクメール語を話せないので、ほとんど話したことはない。2001年にカンボジアに来た時のカウンターパートの両親で、よく田舎の家に泊めてもらっている。最近では、2007年ごろに、数日居候したのが最後である。

 この夫婦とは話ができないが、気分的には気の合う友人で、行くと何時も高床式の家のベランダで、ハンモックに揺られてのんびりした気分になる。彼の5人いる子どもたちの結婚式には、既に結婚していた長女を除いて全て出席している。そればかりか、友人が養女として育てた夫婦の子どもの結婚式まで呼ばれて、ゆっくり田舎暮らしを楽しんできた。

 この友人夫婦は、ポルポト時代に収容所に捕らえられていた従弟の子どもを連れ出してきて養女として育てた。カウンターパートに聞いたところ、はるかトンレサップ湖を渡って、対岸の収容所から闇にまぎれて幼かった少女を連れ帰ったという。ポルポト時代は、通貨は通用せず、食料も途中で手に入らない中を、3-4日はかかるのにどのようにして戻ってきたのであろうかとその豪胆さに驚かされる。また既に自分にも二人の子どもがいる中で、夫が危険を冒して収容所から子どもを連れ出すために出かけることを許した、肝っ玉母さんにもただ敬意を持つ。

 いつも会うとお互いに抱き合って、無事を確かめて喜び合う。私より2つ年下で、カンボジア人としては、かなり老人である。会うと得をしたような気分になり、もう何回会えるだろうかと思いながら、不思議と温かい思いで分かれる。

写真は、両端はカウンターパート、中央左が私、右が友人夫婦。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )