書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

郭煥圭 『台湾の行方 Whither Taiwan?』 から①

2009年05月20日 | 抜き書き
 マルクス主義以外に社会科学の訓練を受けていない中国側学者の報告は実に顰蹙を買うものばかりだった。彼等は往々にして国家、党が与えた結論を前提に演繹法で固めるばかりである。例えば、「台湾が中国に戻ることは台湾人民にとっても最大の幸福に相異ない」と主張する。「何故、そして何処にその幸福があるのか。もっと具体的に説明してくれ」と要求すると、「必ずいいんだ。十二億の同胞がそれを保証する」と答える。正に「先に結論ありき」の論説である。政治は、とくに民主政治は決定のプロセスが大事である。トップの誰かがある目標を立てて、それでいいとは民主政治の立場から肯定できない。このような反論に、中国側学者はうろたえるばかりだった。 (第二章第二節2「『台湾之将来香山会議』――台湾人学者と統戦」 本書59-60頁、太字は引用者)

(創風社 2005年8月)