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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「東日本巨大地震:『マニュアル社会』日本も打つ手なし」(上下) を読んで

2011年03月16日 | 思考の断片
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2011/03/16 11:22:44、山形・仙台=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)記者。(部分)
 〈http://www.chosunonline.com/news/20110316000045
 〈http://www.chosunonline.com/news/20110316000046

 余震や原子力発電所の事故を伝えるニュースが相次ぐと、いつも落ち着いている日本人も、これまでになく深刻に受け止めはじめているようだ。インスタントラーメンや水、乾電池などの買い占めも各地でみられるようになった。
 政府に対する日本人の信頼は高い。原発が不安な状況にあっても、とりあえずは政府の発表を信じ、電気がストップしてもまずは受入れている。断水が起る状況でも「何か理由があるはずだ」と納得しようとする。黙々と列を作り、不満を言わず政府の指示に従っている。
 しかし地震から5日が過ぎると、日本人も徐々に怒りだしているようだ。政府の対応が国民の信頼を揺るがすほど後手に回っているからだ。
 (

 そのとおりだと思う。
 しかし、以下については、ちょっと異論がある。

 津波など巨大災害への備えは、韓国と日本では大きく異なる。韓国では兵士や公務員が事故直後から大量に現場に投入され、救助作業に動員される。泰安での原油流出事故では、全国各地からボランティアが集まった。しかし日本ではそのような雰囲気はない。
 もちろん主な現場には常に自衛隊員がおり、ボランティアも小規模ではあるが活動している。日本の民間ボランティア団体によると、何の準備もなしに現場にはいると、避難中の被災者に迷惑をかけてしまうため、現場に入る際には非常に慎重になるという。
 (

 他地域の人々が現地でのボランティア活動に慎重なのは、阪神淡路大震災のとき、善意ではあるがとりたてて専門知識や技術を持っていないボランティアの人々が、かえって現場での妨げとなったといわれる事例を踏まえてのことかもしれない。もしそうであれば、「マニュアル社会」とは関係ないどころか、反対に、柔軟な学習の結果であろう。

 災害への備えでは世界に名の知れた日本だが、今回の大地震と津波ではその備えも完全に破壊された。凄惨な被害現場を歩くと、世界が認める安全大国の日本でさえ打つ手がなかったほど、今回の災害が深刻なものだったことがわかる。想定されたレベルをはるかに上回る災害に対しては、マニュアルに従って動く日本式システムも稼働しなかったのだ。

 マニュアルがなければもっと酷いことになっていたかもしれないとは思わないのだろうか。


5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Smile)
2011-03-16 14:39:46
泰安のボランティアは、島根(ナホトカ号重油流出事故)のボランティアの真似ではと当時思った記憶があります。
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Unknown (joseph)
2011-03-16 15:01:02
smile さん、

 ご指摘ありがとうございます。なるほどそういう面があったかもしれませんね。隣国なのですから。
 ただ島根の場合は、重油の後始末という、まさに単純作業をこなす人手が必要とされていたわけで、今回の災害とは事情が異なっていて、島根そして泰安の例は前例となりにくいと私には思えます。どうでしょう。
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Unknown (Smile)
2011-03-17 00:37:56
そうですね。私にもそう思えます。私自身も何かしたいという気持ちはあるのですが、どうしたらいいのかわからなくて二の足を踏むところがあります。
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Unknown (joseph)
2011-03-17 10:40:45
Smile さん、
 この話題に関連して、以下の特集記事が、私には非常に有益でした。

▲「言論NPO」「被災地のため、僕らは何をするべきか」
http://www.genron-npo.net/society/topics/post-55.html
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Unknown (Smile)
2011-03-17 17:25:26
なるほど。勉強になりました。どうもありがとうございました。
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