書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

モリス・クライン著 中山茂訳 『数学の文化史』 下

2016年09月20日 | 抜き書き
 もう一つ、相対論研究が注意を喚起した問題は、無意識に仮説を作ることである。これは進歩への障碍になる。無批判に気軽に仮説を作ることは戒るべきである。たとえば時間、距離、同時性がこの宇宙のすべての人に対して同一である、というものなど、無批判な仮説の好例である。今日の数学者、科学者は、表向きに認められ仮説としてのべられたものよりも、無意識裡に作られた仮説にもっと注意をはらわねばならないことを自覚している。 (第二十七章「相対性理論」、同書286頁)

(社会思想社 1987年2月)