書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

韓敏 『大地の民に学ぶ』 新世界読書放浪

2017年01月20日 | 人文科学
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 「ホーム人類学」に拘る著者が自身の出身地である瀋陽や東北を舞台とせず、あえて南方の地を対象とするのも日本の文化人類学が基本とした異文化研究に倣って、中国の地方の多文化性を確認するという作業の様な気もした。

 臨川書店刊、2015年11月出版の同書を私も遅まきながら読む。なるほど。ただあるいは、西欧での祖型にあくまで忠実に、「異文化研究」を基本とする日本の文化人類学を、「不可解」と言い切るほどに、「自文化研究」の志は十分以上にあったけれども、そのための学問上の方法論を、自分のそれ用に完全に調整することまではできなかったということかと思ったりもする。