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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「Christian worshippers 'detained' in China」 を読んで

2011年04月12日 | 思考の断片
▲「Aljazeera.net」Last Modified: 10 Apr 2011 11:52; Source: Agencies.
 〈http://english.aljazeera.net/news/asia-pacific/2011/04/2011410105621371604.html

  Police officials in China have arrested dozens of Christian worshippers from an unregistered church when they tried to pray outdoors, a rights group said.

 問題は、中国のキリスト教がなぜこれほど弾圧されるのかということだ。新疆ウイグル自治区のイスラム教、チベット自治区(およびいわゆる大チベット地域、さらに内モンゴル自治区の)チベット仏教と同じといわれればそうだが、中国内地でここまで迫害される宗教はほかにあるのだろうか。法輪功のように淫祀邪教=カルトと認定されたものは別である。中国のキリスト教派(プロテスタント)のなかにはカルト扱いされているものもあるらしいが、しかしそれ以外の中国におけるキリスト教徒は、キリスト教徒であるという理由だけで迫害されているのである(米国国務省 International Religious Freedom Report 2008)。内村鑑三不敬事件と比較してみるのは妥当か否か。
 上述 International Religious Freedom Report 2008 では、キリスト教にかぎらず国家組織に属さない宗教団体を中国政府が厳しく取り締まるわけは、今日ではイデオロギー的な見地からではなく、国家の承認なく人民が集まると良からぬことを企てて社会秩序を乱すかもしれないからという現実的な懸念だとしている。つまり保険のための迫害と弾圧ということである。形式論理の未発達な中国式思惟においては、これで完璧で非の打ち所のない正当な理屈たりえるだろう。この見方もまた正しいと思われる。もっとも相手の実態を見ずに一般論で理屈を進めるところ、実用的ではあっても現実的とはちょっと異なるかとも思うが。
 ちなみにこの International Religious Freedom Report 2008 には中国のイスラム教派のなかでカルト扱いされているセクトについての言及はない。存在するものの何らかの理由で言及されていないのか、そもそも存在しないと見なされているのかはわからない。