書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

J.M.ロバーツ著 金原由紀子訳 『世界の歴史』 6 「近代ヨーロッパ文明の成立」 から

2009年05月20日 | 抜き書き
 ロシアは強大な政治権力によって成立した国家であり、その原動力となったのは「ロシア皇帝(ツァーリ)」という絶対権力者の存在でした。ロシアには国家誕生の前提となるような民族的統一はなく、国境となるような地理的な境界線もほとんど存在しません。正教による結びつきこそありましたが、ほかのスラブ民族も正教を信仰していた点では同じだったのです。
 ロシアでは、ツァーリの個人的な領土と権力を拡大させることが、すなわち国家の建設を意味していました。 (「第三章 『列強諸国』による新しい世界」、本書150-151頁)

 ツァーリ出現以降、ロシアにも“公”はなかったか。

(創元社 2003年6月)