書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

藤堂明保 「鳳凰と飛廉について 漢タイ共通基語の一面」

2015年01月15日 | 東洋史
 『東方学』18、1959年6月、104-114頁。

 私は直ちに当時の山東河南の夷人が、今日の東南アジアに住むタイ語を用いる民族と同系だと主張するのではない。〔略〕しかし次のことは、まず言えると思う。即ち、紀元前十世紀のころの中原の言語は、「漢タイ共通祖語」とも称すべきものであって、後の漢語とタイ語とは、この祖語からしだいに分かれ出たものらしいということである。 (114頁、原文旧漢字)

 漢語において時代が下るとともに二字単語が増加するのは、筆者がその結果として主張する双声語、畳韻語の出現はもちろんのこと、その他一般の語彙においても、元来複声母(kl、pl、ml、bl)が二音節に分裂したことが原因の一つとしてあるらしい。