書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

劉魁立/郎櫻主編 『維吾爾木か姆研究』

2012年11月20日 | 芸術
 ウイグルの民族英雄としてのアマンニサ・ハンの偶像化は、遊牧ウイグルと現代のウイグル族の断絶を埋めるためにむりやり置かれた多分に脆弱な環であるヤルカンド・ハン国をつなぎ止めるために必要なのかもしれない。

(北京 中央民族大学出版社 1997年10月)

維吾爾族簡史編写組 『維吾爾族簡史』

2012年11月20日 | 地域研究
 ①1921年のアルマアタ(現アルマトィ)会議について言及がない。
 ②1935年盛世才政権による「維吾爾族」名称採用について言及がない。
 ③1945年第二次東トルキスタン共和国(三区革命)における革命政府・軍における民族構成(数および比率)について言及がない。
 ④明初に湖南省に移住した高昌(天山)ウイグル王国のウイグル人について言及がない。
 ⑤明初(14世紀)から清初(17世紀)までヤルカンド・ハン国で繋いでいるが、ヤルカンド・ハン国はモグーリスタン・ハン国の後、モグーリスタン・ハン国は東チャガタイ・ハン国の後である。モグールはモンゴル、チャガタイはチンギス・ハーンの次男チャガタイ。ヤルカンド・ハン国の初代ハンとなったサイードは、トゥグルク・ティムールの直系の子孫である。すなわちチャガタイの裔で、モンゴル人。ウイグルとは何の関係もない。つまり遊牧ウイグルと現在の新ウイグル人の歴史は、この間、切れている。

(乌鲁木齐 新疆人民出版社 1991年4月)