書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

馮友蘭著 森下修一訳 『新編中国哲学史』 全2巻

2012年11月30日 | 東洋史
 気の理論を、「初歩的な(=つまり原始的な)唯物論」と形容してある。「素朴唯物主義」なる概念の淵源はこの書か? 
 それにしても、唯物論と弁証法に近いかどうかですべてを裁断する論法は、いまでは到底、学問書として通用するまい。
 馮友蘭という人は、革命後馬鹿になった(あるいはされた、あるいはそのふりをした)のであろう。
 なお馮氏は公孫龍を実念論(客観的観念論)者として捉えていて、加地伸行先生と正反対の解釈である(下巻「第十一章 恵施、公孫竜およびその他弁者」、とくに85頁)。

(林書店 1966年12月・1967年3月)