書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

R・D・タリン著/三浦順子訳 『チベットの娘 リンチェン・ドルマ・タリンの自伝』

2009年08月08日 | 伝記
 1950年、ラサに進駐してきた中国人民解放軍の兵士たちを、ラサのチベット人たちは、さんざんに愚弄したらしい。大人は、唾を吐きかけたり、家畜を追い払うように手を拍ちならしたりしたという。子ども達は石を投げつけた。しかし、著者によると、もっとも質が悪かったのは一般人よりもむしろ僧侶で、彼らは、衣のはしを結んで作ったこぶで、中国人兵士を打ちすえたという。だが中国兵は、すくなくとも当初は、チベット人にいかなる侮辱を受けても無視せよ、けっして反応してはならないと上から厳しく命じられていたため、いっさい報復しなかったとある(本書329-330頁)。

(中央公論社 1991年6月)

ダライ・ラマ著/木村肥佐生訳 『チベットわが祖国 ダライ・ラマ自叙伝』

2009年08月08日 | 伝記
 なるほど周恩来というのは二重人格かもしれない。ダライ・ラマ14世に向かって、中国のチベット駐留軍やアムド・カム地方の中国側の役人たちの「間違い」を謝罪したばかりのその口で、もしインドにこのまま留まって中国へ帰らないなら、「当人と当のチベット国民だけが憂き目を見る事態になるだけである」などと破落戸まがいに脅すのであるから(1956-57年の釈迦生誕2500年祭出席のためのインド訪問時。本書214-217頁)。

(中央公論社 1989年9月初版 1995年8月6版 もと亜細亜大学アジア研究所 1986年1月)

「China executes pair over fraud」 から

2009年08月08日 | 思考の断片
▲「Al Jazeera English」Thursday, August 06, 2009, 12:56 Mecca time, 09:56 GMT、Agencies. (部分)
 〈http://english.aljazeera.net/news/asia-pacific/2009/08/20098684744921726.html

 Two business people who defrauded hundreds of investors out of more than $130 million have been executed in China.

 Though usually reserved for violent crimes, death sentences are also applied for nonviolent offences that involve large sums of money or are seen to threaten social order.

 中国で、汚職や詐欺事件をめぐって、被告に対し、死刑を含む驚くほど重い処罰が課せられるのは、悪いことをしたからではなく、狡いことをしたからではなかろうか。