なるほど周恩来というのは二重人格かもしれない。ダライ・ラマ14世に向かって、中国のチベット駐留軍やアムド・カム地方の中国側の役人たちの「間違い」を謝罪したばかりのその口で、もしインドにこのまま留まって中国へ帰らないなら、「当人と当のチベット国民だけが憂き目を見る事態になるだけである」などと破落戸まがいに脅すのであるから(1956-57年の釈迦生誕2500年祭出席のためのインド訪問時。本書214-217頁)。
(中央公論社 1989年9月初版 1995年8月6版 もと亜細亜大学アジア研究所 1986年1月)
(中央公論社 1989年9月初版 1995年8月6版 もと亜細亜大学アジア研究所 1986年1月)