書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「【その時の今日】日露戦争に勝った日本を称賛したタゴール 植民地朝鮮は『片思い』に」 から

2009年08月07日 | 思考の断片
▲「中央日報 Joins.com」2009.08.07 16:46:39。 (部分)
 〈http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=118944&servcode=100§code=140

 「岸で夜は明け/血の色の雲の早朝に/東側の小さな鳥/声高く名誉の凱旋を歌う」。1905年に日露戦争で勝利した日本を称賛したこの詩は、タゴールは友軍だったという固定観念と衝突する。タゴールは植民地インドが英国を追い出せるという希望を日露戦争に見た。 「日本はアジアの中に希望をもたらした。われわれは日が昇るこの国に感謝する。 日本は遂行すべき東洋の使命がある」。その時、タゴールは朝鮮をのみ込んだ日本を応援した日本側だった。タゴールにとって日本は西洋に匹敵する強者として尊重の対象だったが、植民地朝鮮は同病相憐れむ敗北者にすぎなかった。日本を3度も訪問し、中国と東南アジアの各国にも行ったタゴールは、朝鮮の土を踏んだことはなかった。タゴールの「日本賛歌」は、タゴールに対する私たちの愛情が我田引水式の片思いにすぎなかったことを明証する。

 当時の朝鮮とおなじ植民地の境遇に在ったインドの人タゴールが、それでもなぜ日本を応援したのかについて、どうして思いをめぐらさないのか。狭隘な視野、そして、いつも自分自分、自分を認めるか認めないかだけで物事を量る偏狭な精神。

シエルビー・スティール著/松本剛史訳 『オバマの孤独』 から 

2009年08月07日 | 抜き書き
 今現在、われわれ黒人がアメリカのメインストリームに対して見せたいのは、人種差別の被害者の顔である。人種差別の実態を大げさに主張することで黒人には権利が生じ、白人は差別解消の義務を負う。これがわれわれの戦略的な仮面であり、自分たちのアイデンティティの土台とする。 (「7章 現実と対峙するための『仮面』」 本書97頁)

 〔おのれの受けたとする差別体験の主張が〕誇張であることは、本人もごくかすかに意識するかもしれないが、実際に自分が経験したことよりも、黒人全体ではもっと悲惨な状況であるのだから正確な真実をのべていると感じ、満足してしまうのだ。 (「7章 現実と対峙するための『仮面』」 本書98頁。太字は引用者)

 〔「バラクは黒人です。ガソリンスタンドへ行く途中にいつ撃たれてもおかしくないのです」と発言したミシェル・オバマは〕、アメリカでは黒人が犠牲者なのだという、より大きな真実を語っているのだ。そして人種問題でアメリカ社会のメインストリームをコントロールしようとする。 (「7章 現実と対峙するための『仮面』」 本書101頁)

 〔バラク〕オバマにとって問題なのは、彼は黒人の立場で国を率い、アメリカ社会全体をコントロールしなければならないことだ。彼は「黒人である」ために、アメリカにおける黒人の犠牲を誇張して語らなくてはならない。そして現実に受けた被害ではなく、誇張された被害を償ってもらう政策をとらなくてはならない。/さらに悪いことに、黒人のさまざまな問題、たとえば高い私生児率、犯罪率、家族の崩壊などの原因は、人種差別にあるとする考え方に立たなくてはいけない。 (「7章 現実と対峙するための『仮面』」 本書101頁。太字は引用者)

 黒人はいまだに、人種主義を黒人にとっての大きな障害として見ようとする。そして、自分たちに責任があるとは思わない。そして、あきらかに黒人全体に原因があるときでも社会のせいにしてしまい、政府に寛大で情け深い対応を要求するのだ。 (「7章 現実と対峙するための『仮面』」 本書101-102頁)

 中国人・韓国人・朝鮮人の日本人に対する心的態度に、こういった傾きは、はたしてないか。

(青志社 2008年4月)