書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

鶴見俊輔/上坂冬子 『対論・異色昭和史』

2009年07月02日 | 日本史
上坂 全体主義は嫌だけど、迷いなく一点に向かって前に進むのは快感でした。〔中略〕〔太平洋〕戦争を語る時に、あの時の快感をはずしたら戦時体制の真実を見誤る気がします。
鶴見 その快感は、私も感じた。 (「第二章 戦時体制下のくらし」 本書76頁)

 この「快感」について、上坂女史は「一種の爽やかさ」とも言い換えている。それを読んで、たしか張承志氏もその自伝『紅衛兵の時代』(小島晋治/田所武彦訳、岩波書店、1992年4月)のなかで、爽やかという言葉こそ使ってはいないものの、文化大革命直前および初期の中国、自らの清華付中時代を、まさに爽やかさそのものの印象とともに描出していることを思い出した。

(PHP研究所 2009年5月)

大人(たいじん)どころかまるで子供

2009年07月02日 | 思考の断片
▲「環球網」2009-07-02 07:22、「日本网民热议GDP被中国超越 有的不服有的嘲讽」から。 (部分)
 〈http://world.huanqiu.com/roll/2009-07/503195.html

  “了不起!大国!大国!那以后就不要老和我们小国相比了!”在日本媒体报道中国GDP可能在今年或者明年超过日本的消息后,日本网络上出现了不少这样带有嘲讽的话。与此同时,更多日本网友根本不认为中国有超越日本的实力,有位网友甚至语带傲慢地称“日本从未把中国当作过对手”。

 こんなことで中国に嫉妬しない私はもしかしたら日本人ではないのかもしれないが、ところで。

  除此以外,还有不少网友在留言中对中国充满冷嘲热讽甚至恶意攻击,“恭喜中国!那顺便把向我们借的钱还了吧!”“日本政府不能再给你们任何经济援助了!中国人不仅不领情,还报之以怨言、有毒食品。这以后谁要是说继续给中国援助,我真怀疑他的人性!”还有网友称,“既然作为常任理事国并且超过了日本的 GDP,那就没有做不到的事情,请你们自己解决遗留化学武器问题、环境保护问题、通货膨胀等问题,再不要给别人添麻烦了。”

 中国がGDPで日本を超えた、日本よりも大国になったというのなら、日本側がこれまでに貸した金を返してくれ、経済援助はもうやめると言いだすのは、至極当然の反応ではあるまいか。一人前になったら自分のことは自分でしようというのがどうして中国に対する「愚弄」や「悪意ある攻撃」になるのかナ、ボク?

廣田鋼蔵 『化学者 池田菊苗 漱石・旨味・ドイツ』

2009年07月02日 | 自然科学
 ロンドン留学中の夏目漱石と一時期同宿し、漱石の『文学論』の構想・執筆にあたって大きな影響を与えたといわれる物理化学者池田菊苗(1864-1936)は、それより先、自身の留学先のドイツで、当時の「代表的な原子・分子実在説反対者」(本書59頁)で「原子観(原子論)」と対立する「エネルギー観」の立場を取っていたヴィルヘルム・オストヴァルト(1853–1932)に師事していた。彼も生涯、ほぼ師と同じ立場で通したらしい。

(東京化学同人 1994年5月)