書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

文倉平次郎 『幕末軍艦咸臨丸』 

2005年06月07日 | 日本史
 もと厳松堂書店より1938(昭13)年出版。1993年に中公文庫から上下巻で出ているが現在は入手不能らしい。
 加藤貞仁「幕末とうほく余話 No.8」(http://www.mumyosha.co.jp/ndanda/05/bakumatu01.html)に、目配りの利いた解説がある。
 加藤氏が文中いみじくも言われているように、本書が「咸臨丸の『根本史料』と言って間違いない」ことは紛れもない。新撰組について調べようと思えば真っ先に見るべきは子母沢寛の新撰組三部作『新撰組始末記』『新撰組遺聞』『新撰組物語』であるように、咸臨丸に関してはまず、この百科事典的名著を繙かねばならないのだろう。

(名著刊行会 1979年4月)