知識の整理。
「はじめに」ではっきり宣言されているように著者が意図的に行っていることではあるが、価値判断を極力抑えた事実経過のみの叙述が続くので、少々読みづらい。
そんな中、印象に残る評価の言は以下。
“国際政治学には、「セキュリティ・ジレンマ」という専門用語がある。国際社会は常に戦争の危機を孕んでいるので、対立する二国の間では、一方が自国の安全を増大させようとすると、他方は不安を増大させ、悪循環を生じやすい状況が生じる。この状況を説明する用語である。日本とロシアは、ロシアが満洲に入ったために、一方が朝鮮半島で安全を確保すると、他方が不安を増大させるセキュリティ・ジレンマを強く意識するようになり、地力で劣る日本側は戦争以外に有効な解決策を見いだせなかったのである” (第四章「戦争への道程」 112頁)
(中央公論新社 2005年4月)
「はじめに」ではっきり宣言されているように著者が意図的に行っていることではあるが、価値判断を極力抑えた事実経過のみの叙述が続くので、少々読みづらい。
そんな中、印象に残る評価の言は以下。
“国際政治学には、「セキュリティ・ジレンマ」という専門用語がある。国際社会は常に戦争の危機を孕んでいるので、対立する二国の間では、一方が自国の安全を増大させようとすると、他方は不安を増大させ、悪循環を生じやすい状況が生じる。この状況を説明する用語である。日本とロシアは、ロシアが満洲に入ったために、一方が朝鮮半島で安全を確保すると、他方が不安を増大させるセキュリティ・ジレンマを強く意識するようになり、地力で劣る日本側は戦争以外に有効な解決策を見いだせなかったのである” (第四章「戦争への道程」 112頁)
(中央公論新社 2005年4月)