くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ゆきこの化け物」郷内心瞳

2020-07-25 20:24:36 | ミステリ・サスペンス・ホラー
「宮城県図書館からのチラシに、郷内さんが載ってる!」
と、事務室から内線入りました。
この数ヶ月で私、同僚のNさんに郷内さんの本を貸しまくり、とうとう自分よりも彼女の方が先を行くペースで読むようになっちゃいました(笑)。
という訳で、この四連休に手元にある文庫を少し読んでおこうと。
郷内心瞳「ゆきこの化け物」(竹書房)。
祟りをテーマに編まれた短編集です。
郷内さんのスタイルは、中心を貫く物語と、それを取り巻く短いエッセンスで構成されているのですが、今回は、恋人を養うために水商売に身をやつした「たまこ」のエピソード。
実家から家出をしてきて、知りあった男との生活に疲れ切っているたまこ。明らかにその男はクズだと思いつつ、拝み屋の分を超えているかと踏み切れずにいる「私」。
たまこは、「私」の妻の真弓と、飼い猫のことが好きで、祈祷のあとはよく話し込んでいきます。
いや、もうこれが中心と分かった瞬間に落ちが見えるんですが!
でも、ついつい読んでしまうー。
しかも。
「スペクタクルショー」という話は、「二十年近く前」の設定なのに、心霊写真を撮れと持たされたカメラが、なんだかデジカメっぽいんだよね。
「何も写ってねえじゃねえか!」
って怒られてる。(フイルムだったら、即座に確認は無理でしょう)
この時代、高校生が簡単に持てるとは思えないのですよ。

印象深いのは、女子高生時代の祟りが何年も経ってから成就される「実践と結果」、恋人の死を受け入れられずに復活を願う「呼び寄せる」。
郷内さん、結構ロマンチストですよね。(下ネタも多いけど)
どうやら、私がまだ買っていない「拝み屋備忘録 怪談首なし御殿」という本があるようなので、本屋で探します!
そうそう、宮城県図書館の機関紙「ことばのうみ」、巻頭エッセイの郷内さん、以前見た写真とはかなりイメージ違っていました……