くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「さらば脳ブーム」川島隆太

2013-11-11 05:36:59 | 自然科学
 そろそろ授業も「脳の働きを目で見てみよう」に入ります。遅いかな?
 で、川島教授の本を読もうと思ったんですが、どれもこれも十年近く前のもので、読んだこともあるようなものだったんです。
 わたし、研修で川島教授のお話を伺ったことがあって、それがすごくおもしろかったんですよ。帰ってからイラスト入りでまとめてしまったくらいです。
 だから、この本もちょっと期待したんですが、教授の話を盛り上げようとするサービス精神がうまく起動していないように思います。
 「さらば脳ブーム」(新潮新書)。脳ブームの中心ともいえる方の著作であることからも、違和感のある書名ですね。こうやってみると、話すのであればちょっとした「くすぐり」のような部分が、書くことで他と同じような比重に感じさせてしまうような。借りる前にいくらかレビューを見たのですが、養老孟司と立花隆のエピソードに触れているものが多かったため、てっきりこちらがメインなのかと思ってました。たった二ページなんですね。この構図は、留学中に会うことができた江崎・利根川の両ノーベル賞教授の対応と同じだと思うんです。茂木健一郎についても同じ。
 この本の骨子は、脳機能イメージの研究をしているうちに「学習療法」を発見し、前頭前野にあるワーキングメモリーを高めることで脳が活性化することを突き止めた。しかし、学術界ではあれこれと難癖をつけてくる。自分にとっては自明のことでも、データとか言葉の表層的な部分での批判がある。脳ブームの立役者のように思われているが、産学連携の一環でもある、という感じでしょうか。難しいところは飛ばし読みしたし、川島教授も曖昧に書いているところがあるので、断言はできませんが。
 ただ、脳の活性化をテーマにしているうちに、クレペリン検査、単純計算、音読、楽器、料理、手芸と多岐に広がっていった経緯はよくわかります。
 学術論文よりも、もっとわかりやすいストレートな表現で伝えようという思いもあったといいます。(お手本は小泉純一郎だそうな)
 わたしが中学生のころ、二十歳すぎると脳の細胞が毎日ハエ一匹分ずつ減っていくんだと教えられたんですけど、現在はどういう研究になっているのでしょうね。
 そういえば、暗記は「子ども」だからできると書かれた資料も見ました。うちの娘は教科書の物語をまるっと覚えて語るのですが、それも今の時期限定なんでしょうか。うーん、わたしも暗記は得意でしたが、現在は歌詞もうろ覚え。中学生くらいまでに覚えたことは今でも暗記できますけどね。