ズーラシアの予習にと、本棚から引っ張り出してきました。中川志郎「珍獣図鑑」(新潮文庫)。
昨年古本屋で二百円で購入した掘り出し物です!
わたしは中川さんの文章が大好きなのですが、これは動物園のエピソードというよりも本当に「図鑑」なので、さらっと読むのもしにくく、たまに思い出してちょこちょこ目を通す感じでした。
で、今回はホテルにあったズーラシアのパンフレットと相対して、載っている動物を優先して読んでみました。
まず、オカピ。これは以前にも読んでいるのですが、中川さんから改めて「森の貴婦人」への印象を伝えられると、実際にものすごく優美に見えてくるのです。
ズーラシアは希少動物の展示にも力を入れており、これまでそれほど気にせずにいた名前も目につきました。まずはターキンです。ギリシャ神話に黄金の羊伝説があるために、この動物はなかなかリアリティをもって受け入れられなかったようです。まあ、羊ではなく牛ですが。
トラ、ラクダ(家畜として扱われるものは多いけれど、野生種はかなり減っているのだとか)、マレーバク、テングザル(冬場は展示中止でした)、カワウソ、ホッキョクグマ、メガネグマ……。
そのほか、現在動物園で展示されている動物が、当時は育成を模索中な場合もありました。コアラはユーカリがないと生きられない。しかし、コアラを生かすためには結構な広さの林がないと。
東京にその地域を確保して(農家に依頼だったかな)、コアラは実際にその後展示可能な動物園が増えましたよね。
単行本が出たのは昭和五十一年です。三十年以上を経て、絶滅が心配された動物たちはどうなっているでしょう。
本には標本しか残っていないフクロオオカミを、絶滅したかもしれないと書かれています。でも、それ以前に絶滅したと断言する資料もありました。
何種類か検索してみると、レッドリストに入っているものもあれば、だいぶ状態が改善された例もあるようです。
この本の表紙を見た同僚からは、
「ウーパールーパーとか? エリマキトカゲ?」
と言われましたが、それ「獣」じゃないですから。
「コアラとかパンダとかですねー」
と言ったら、「珍獣」というイメージではないのではと。
確かに、現在ならそういうタイトルにはなりませんよね。「絶滅危惧動物図鑑」あたりですかね。
新潮文庫で440円だったそうです。
最後に、最近気に入っている動物園まんがを。山浦サク「けものみち」です。小さな動物園の新米飼育係晴子の奮闘ぶりがとてもおもしろい。今回は獣医になりたいと思う女の子と反対する母親の話がよかった。おすすめです。