塾のお仕事

2010-07-31 10:15:17 | 塾あれこれ
学習塾の役割は、受験請負や学力伸長、補習。
それに新しい教育。
こういうものは当然のこととして今日は触れません。

というか、それらを実現してゆく上で、塾の立つ位置は
どうなのか、これを書いてみます。


短い文で書くこと、具体的な例を出しづらいこと、から
極端なケースをでっち上げて、それで話を進めますね。

思考実験といえばカッコいいですか?
(でも、それほど大したものではありません)

第三者としての塾が以下の構図をみつけたとします。

親は受験させたい。
子は燃え上がらない。

こういう場合に塾は何ができるか。

子供が絶対に受験をしたくないようであれば
保護者に塾の判断を率直に伝えればよいですね。

月謝のために見て見ぬふりをするのは好みません。
「首つりの脚を引っ張る」のと同等だから。
いや、それ以上に自分の利益も絡むので、最低ですね。

多くの場合は、特に中学受験では子供も親に言われれば
「よく分からないけれども言われるようにしよう」
程度のことが多いでしょう。

保護者の方は「子供も納得しています」
「受験する気になっています」こう仰る。

実際には、子供が大変盛り上がっている場合から
かなり消極的な場合まで幅広い可能性がありそうです。
親も子供の真意をつかめていない場合もあります。

高校受験でも似たようなものです。
生徒は受験しなければならない現実を知っているけれども
それ以上はイメージの外、ということが多いでしょう。


非の打ちどころがない、学校でも親戚でもご近所でも
認められていて、無茶なことはされそうもない保護者の
子供はしっかり育つことも多く、文武両道に秀で
スポーツをしているので、礼儀正しく人当たり良く・・

こんなうらやましいようなご家庭でも
場合により親子の齟齬が生まれてしまいます。

子供は成長するにつれ
「何で勉強しなくちゃいけないのだろう」
「いつまでシンドイ思いが続くのか」
「親のための受験ではないか」
こんな気持ちが心の奥に生まれることがあるのです。

もちろん子供には親の言い分も良く分かっていて、
それでもなおかつ滲み出てくるホンネです。

真面目で良い子ですから一応頑張って勉強はしますが
プレッシャーが高まってくるとフリーズしてしまい
「自分にはできない」と匙をなげてしまいます。

それでも圧力が続くとキレて
「だまれ、くそばばあ」

「なんてこと言うの!」
親も実力行使に及び・・・

・・と、外からはとても想像できない光景が。


長くなっていますが、極端な例を作り上げてみました。
下手な(作文)で申し訳ありません。

ただし、現実にはありえなくもないかと思います。

塾の仕事はそんな親子の間に入る仕事です。
関係を修復できるように、第三者からの見え方や
相手の立場の説明などが出来るのです。

自信をなくしかけた子供には「大丈夫」のメッセージを
(口先だけではダメで説得力がある話を)
不安がよぎる保護者には子供の可能性を伝えます。
「苦労しているが、やる気がなくなったわけでもない」

もちろん、適当なことをデッチあげるわけにはいきません。
小さな可能性を誇大にいうこともできません。
かなり狭い道しか塾には残されていませんがそこをなんとか。

繰り返しますが、嘘は言えません。

片方に向かって「50%も残っています」
もう片方に「50%しかありません」
これくらいのニュアンスがギリギリでしょうか。

それでも、あちらとこちらと云うことが違っている、などと
クレームがつきかねません。

結果が出ればよいのですが、出なかった場合、間に入った塾は
クレームや批難、場合によれば根拠のない中傷をうけることまで
覚悟をする必要があります。

基本的には親の側について(勉強をやらせる)のですから
結果が出なければ批判は甘受しなければなりません。

こちらの言うとおり動いてくれないで結果が出ないこともあり
さすがにホゾをかみますが、言ってく処はありません。

自らの実力のなさを思い知り、
運の悪さを神様に文句つけるくらいでしょうか。

「あなたへの貴重な試練をお与えくださった神に感謝を」
とか言われちゃっても、ねえ。
悪態の一つ二つは吐いてもよいでしょう。

とはいえ自塾の無謬を信じて疑わないのも愚の骨頂。
更には成功で隠れたクレームの存在も知っておくべきです。

『昆虫ー驚異の微小脳』

2010-07-30 10:13:30 | 本の話
いつもながらの遅すぎる本紹介です。
(ツンドク)になっていた『昆虫=驚異の微小脳』

ご存じの方は「何を今更」でしょうね。

面白く読みました。
何でツンドクだったんだろう?

昆虫がスゴイ能力を持っているのは多少知っていたし
その脳なら小さかろうし、と思っていたのでしょう。
内容がイメージできるような気がしていたのかな。

違った。
さっさと読んでいれば良かった。

きっとこれなら出版されたときに
「名著」として評判になっていたろうと思います。

水波誠著、中公新書、2006年刊行

科学は面白いということが伝わってくる本です。


本ではまず複眼の構造、次に単眼と説明された後
(単純な生物デザインのよさ。Simple is best.)を説かれ
「これが単眼のデザインの本質であり、もしかすると
昆虫の微小脳のデザインの本質なのかもしれない」

1立法mmに満たない小さな脳に何があるのか?


「景色を記憶しその記憶を手掛かりに帰巣するためには
高度な情報処理能力が必要である。昆虫のような小さな
脳しかもたない動物はどのようなしくみで・・」

現代の科学が解き明かす驚異の構造が明らかにされ
また未解明の課題の多さに改めて生物の素晴らしさを
思わされますね。

「小型軽量低コストの情報処理装置の傑作」
などと分かりやすい表現がちりばめてありますから
部分的にはどうしても難しい内容はありますけれども
全体としては分かりやすい仕上がりになっています。

「動きの方向の検知という同一の物理的な課題に直面
した哺乳類と昆虫の脳が、同じ神経計算を独立に進化
させたのである。」

まったく別個の進化をしてきたはずの昆虫と哺乳類が
最後にたどりついたシステムが同じ論理から成り立つなら
超小型脳の勝ちともいえそうです。

ヒトの社会へすぐにアナロジーとして持ち込むのも強引
ではありますが、大きな組織でなくても、シンプルに
結果を出せる場合があるのですね。
智恵は必要ですが。


難しい内容を含みながら読みやすい本を作るというのは
さすが大手出版社ですね。
図版などもきれいで分かりやすいものです。
手抜きがありませんね。

実験をすることの面白さ、そして大変さも伝わります。
類書にはない出来ですね。

ロボット蜂から指令を出させてミツバチに餌を探させる
など面白いですねえ。

最後の第11章だけでも短いですが良くまとまっていると
思います。
立ち読みされては・・・・著者に叱られるか?

なぜブログなんか

2010-07-29 10:49:07 | 塾あれこれ
「お前もそんなブログなんかやってないで、さ」
いくら友達でもムっときますね。

ムっとはきますが相手のいう意味も分からないでも
ありません。
友達ゆえの有り難い忠告でしょう。
あとは私に度量があれば、ですが、それがない。
未だにムっとしたままです。ハハハ・・


ブログで商売上の秘密を公にしてはいないか?
 →そんな大したものは持っていません。

欠点をさらして競争相手につけ込まれる恐れは?
 →当塾は相手にされるような規模ではありません。

長年に亘り培ったものを披露するのか?
 →あるとしても、人さまから頂戴したものですから。
  ブログを読まれたら分かるように私個人で見つけた
  特別な何かがあるわけではありません。

塾として営業的にマイナスな話が多すぎないか?
 →誰も読んでいませんから。

偏った意見が多いようだが
 →書く本人はその度合いがよく分からない・・

書くほどのこともないのに
 →だ、か、ら・・加減が分からないちゅーとる

自意識過剰ちゃうん?
 →どーせ

バカをさらして平気なんですか?
 →そこなんですよ。
  単なる間違い以外に、矛盾・短絡・狭量・近視眼
  無根拠・勘違いの引用・ひいた元が嘘・一方的
  未整理・考え不足・理想がない・悲観的・唐突

  ♪バカはしななきゃ~治らない(広沢虎造)
 
一日中ブログして仕事をほったらかしでは?
 →ご指摘のとーりです。

塾業界の意見を代表していない
 →そういう立場にございません。

よく言ってくれた
 →まさか。褒め殺しでっか?


私には、私より口うるさい弟がおりますが
彼には当ブログの存在は話しておりません。

いろいろ指摘や注文が来るに決まっているから。

彼も「知った以上黙っているのも」と思うでしょうし
ケンカの種になります。

だったら言わない方がお互いのため。

というより鋭い突っ込みに遭いたくないからねえ。

自分で分かっていることを人から言われると
腹立つんだ。


ところで、なぜブログなんだろう? 

病院で負けた

2010-07-28 10:44:42 | 塾あれこれ
この、夏期講習で忙しいはずのとき、今だに通院して
リハビリです。
トシはとりたくないですねえ。

例年、夏期講習の日曜日=塾休み、には展覧会だの何だの
毎週でかけて、挙句、9月以降にバテてしまうのですが
今年は墓参りすら、ちょっこし延期の情けなさ。。
日曜まで回るエネルギーが残っていない今夏です。


療法士「井上さんは塾でしたね」
私  「はい」
   「夏期講習で、忙しいでしょう」
   「いやそれが景気が悪くて・・」
   「またまた」
   「今年の春の成績は悪くなかったのですがそれが
    営業に結びつくかというと、そうでもないのです」


人と人の会話では、話す内容以上が伝わります。
表情とか、体の表面に現れてしまうこともあるでしょうが
思うことが空気で伝わってしまうのかもしれません。

上記の「受験成績が営業に結びつかない」というのは
短いスパンでみると起こりうることです。
昔の山口塾のような歴史と規模ですらそうでした。
(塾長がこぼしていました)

しかし、相手の方がそれをご存じだったとしても
私の言そのものを信じられるかどうか。

ともかくも若い療法士さんからの言葉にならぬリターンは
(オッサン、無理やり理屈こねてるけど
 実は、塾の人気が落ちたん、ちゃうの・・)


景気が良いのに「儲かりまへんな」という場合ならば
相手にも感じが伝わるのでその後の会話も続きますが
良くない時の「あきまへんなあ」は
あとが続きませんね。

にじみ出る何かがあるようです。


もしかして、今春の成績ウンヌンと云った話も
「見栄を張って」と思われたかもしれません。
小さい所の成績はインパクトがないですから。

しかし、しょぼくれていたら信用されないものですね。

信用されてないと伝わってくるので慌てて言い足します。
「五日市駅前は広島でも有数の激戦区でして・・」

「はー、そうですか」
電車でちょっと離れている病院ゆえ五日市を知らない
ときた・・

「いや、これは・・」などと
こちらが力説するほど
相手は「へっへっ。ハイ~、はい。そ~ですか、ハイ」

もし「ブログに書いてるから読んでくれ」などと言っても
「書いてあること、ほんまにホンマ?」
こう思われるに決まってますよね。

相手にとってもただの世間話なのでこちらもテキトーに
話をしていればよいのでしょうが、つい力が入っちゃった。

その挙句の敗北感・・・トホホ


人生、何ごとも勝たないといけません。。。

のんびりブログなんか書いてるバヤイじゃないっ!

「北川」の鰻の頭が大好物で

2010-07-27 10:44:58 | 塾あれこれ
太って足が短いカラチャンDX↑
飼い主によく似てきました。


ごく一部の方はご存知ですがこのブログを始める前に匿名で
丸一年間、別のブログを書いていました。

今はすべて消去していますので自分でも何を書いていたか
内容はすでに定かではありません。

そのブログは今以上に全く読み手のいないものでしたが
猫にまつわる川柳や句を毎日創作と云うものでした。
365日、無理やり続け、ちょうど一年で終了しましたが
我ながら出来は悪かった。。

ただ、そこで分かったことを下敷きに現在のブログを始めた
ので、多少の役には立ったのですね。


現在の家に越す前、借家の時代に半ノラの猫を飼って(?)
いました。

思い出深い話も多いですね。
私たちも結婚してそれほど時間がたっていない頃で
生活にも豊かな変化がありました。

そのころの、猫との付き合いを主に川柳や句にし、
簡単な文章もつけたりしたのが上記ブログです。

消したので、改めてもう一度書いても良さそうですが
なかなかその気になれないのが不思議です。

ブログのネタが少なくなっているし(ヤバイ話なら
いくらでもあるのですが)
また書くか、とも思うのですが、もう忘れてたりねえ・・


昨日は、土用のウナギ、で大騒ぎでした。
X'mas ケーキと同様、いつから準備していたのか
と思われるものを買い求める気にはなりませんね。

スーパーにパックが山づみされてたりする光景は
飽食の象徴です。フユカイ。


五日市に「北川」という鰻屋がありました。
今は移転していますが、ここの鰻がリーズナブルでした。
(「喜多川」か「きたがわ」かもしれません)

歩いて数分でしたし、ときたま伺いましたが
身を頂いたあと、鰻の頭だけを持ち帰りました。

落語には頭で出汁を取るというのがありましたが、私が
そうしたのは、おかーちゃん(猫の名前)の好物だったから。

飼い初めはイワシでも喜んでいたのに、ネコというものは
どんどんと贅沢になり、高級な刺身じゃないと喜ばない。

鰻は別格。

ウハウハ食べていたのが、今でも目に浮かびます。

・・・

転居の時の哀しい別れはもう書きましたっけ?

鰻と言うと、おかーちゃん。


ところで今の娘たち
我が家に来た時はすでにカリカリしか食べない子猫
でした。

晩酌に一緒につきあってくれないのは寂しいですね。

予備校の3先生

2010-07-26 10:14:37 | 塾あれこれ
TVで駿台の竹岡広信、東進=板野博行、河合=大竹真一
3先生がトークをされていました。

『ディープ・ピープル・予備校講師』です。

十年ほど前まで進学塾にいたので、分かるような気が
するトークでした。
著名な先生方に向かって、地方の中学・高校進学塾に
いた者が「分かる」とは生意気な発言になりますが。

私も予備校と似たような感覚で仕事をしていましたね。

自宅で個人塾をしている今でも、考えや思いには
共通の部分があります。
(勉強のことですから共通していて当たり前ですね)

受験で結果を出す、という大前提ゆえのシバリというか
悩みも先生方の話の底にあるように感じました。

有名な予備校の先生でも小さな塾の講師でも変わら
ない処が多いということですね。
もちろん、著名になられる方は、共通部分から先が
違うので「君らには一緒に見えるやろ?」と
笑われてしまいそうです。

一番大切なことはTVでは話されないし、立て前論か
自己宣伝か、くらいの番組でしたが、
よくご存じない人には「ディープ」な話になるかも
しれません。

いずれにしろ受験の話ですから「教育面」が弱くなる
のは仕方ありません。
クリエイティブでもありません。


強調された「テクニックより理解が肝心、その方が良く通る」
これも常識ですが、実際の授業での塩梅がどれだけできるか
これはまた別問題です。

予備校や有名進学塾と一般の塾の違いもあります。

エリート校に通るような生徒を相手にするのと
点が出ず自信がなくなっている子供とでは
こちらの対応の難しさも格段に違います。
(年齢その他によっても変わります)

基本は同じで、単純なことなのですがねえ。
加減が、順番が、根気が、すべて大変です。

塾がついテクニックに頼りがちになってしまうのは
点数が低い子のほうに向けてが圧倒的多数でしょう。
点を上げなきゃ「やる気」も出にくいしね。
(保護者の方もお金を出していただけないし)

もちろんテクニックだけではすぐに行き詰まるし
そもそもそれが原因で分からなくなっているかも
しれなかったのだし。。。

(大化け)もそんなに多くはありえないでしょう。

教育では禁句ですが「費用対効果」を考えると・・・・
テクニックの全否定も、しづらいものですね。


塾業界も、難しいことがあります。
仕事として世間で評価されない理由の一つでしょう。

難しくて、お金もうけにならなくて→良いことは少ない。

「教えない」で塾をやろうなど気の重いことです。

若い皆さんが進学塾をやりたいのも分かります。
「教えない」ことも比較的楽に進められるし
一定のレベルを超えたら、次は、教えられるし
・・ここまでくれば楽です。

たしかに自分の引き出しが心配にはなりますけれども
生徒の方が自分より偉いのですから仕方ありません。


話は変わります。

『ディープ・ピープル』では
ずいぶん前にボクサー3人でトークをされたのが
面白かったですね。
知らない世界であることも手伝ってディープでした。

夏はカレー

2010-07-25 11:00:43 | 塾あれこれ
冷やしカレーうどん、も美味しいけれど、難しい。
つい市販のものに頼りがちになります。
そうすると高いしねえ。

家で作るのは暖かいカレーが易しい。
ゴーヤカレーなどは比較的安価にできます。
でも、いつもそれじゃ飽きるし。
(綾瀬はるかのホタルなら平気かな)

そこで、またまた宮崎先生。
「キャベツの中華風カレー」はいかがですか?

上沼恵美子の『おしゃべりクッキング』6/9放送です。

乱暴に言えばホイコーローのカレー味

ホイコーローが大好物なだけに放映時は関心が向かず
にいたのですが、先日カミサンが作ってくれました。

宮崎先生のレシピは見るだけでは分かりませんねえ。
え?こんな味になるの。。。

彼は天才、と連呼する所以です。

豆板醤と甜麺醤にカレー粉、ですから分かったような
気がするでしょう?
最後にマヨネーズ。

これが効くのだそうです。
うむ、確かに。

言われてみればマヨネーズの使い方の教科書に載りそうな
レシピになっています。


まだ試してはいないのですが先日は同じ番組で
西洋料理の若林先生の「きのこのパスタ」
トマトソースにクリームチーズ

これは美味しそうですね。

最近は若林先生も好調。

カミサン、はやく作ってくれないかなあ。


今日これからの昼食は私担当。

熱々こってりの「スジ肉うどん」

思っただけで、クラ~っとするけど・・やる!!

『素数ゼミの秘密に迫る』

2010-07-24 15:30:54 | 本の話
今風の本の作り方です。
内容はそこそこ難しい処もありますが
写真も図版も絵本なみに大きく多く、カラフルで楽しい。
分かり易い本づくりを、という姿勢がよく分かります。
(残念ながら校正ミスがあるけれど)

吉村仁著『素数ゼミの秘密に迫る!』
ソフトバンククリエイティブのサイエンス・アイ新書です。

従来の新書といえば活字ばかり、図版も少なくかつ
分かりづらい。
一般読者向けと言いながらテクニカルタームの羅列には
文章の工夫が要るのでは?と思いますね。

この本は違います。
中学生でも手に取りたくなるような仕上りに見えます。

これからの本はきっとこう変わってゆくのでしょう。
制作する方はタイヘンでしょうね。

電子書籍になれば更に分かりやすい本づくりが可能。

自由に写真や図版を参照し、音も聞け、3Dにもでき
脚注なども読者のレベルで引っ張れる
そんな時代がそこまできているんですね。

大人も子供もそれなりのレベルに合わせて一冊の本を
読めるようになります。(たぶん)

古典も読みやすくなるでしょう。


著者の吉村仁さんは数理生態学。

少し前、ベストセラー『素数ゼミの謎』を出版され
オールカラーの絵本で大人も子供も読め、評判でした。


以下、本から引用します。
誰もが思っていることなのに現実はなかなか良くならない
子供の勉強の仕方についてです。

『日本では、大学受験を中心に記憶重視の入試のため、
子供たちは小さいころからとてもたくさんの暗記を強い
られています。理解をせずに暗記をすると、その暗記し
たことは信心として、つまりその人には真実として記憶
されてしまいます。そうではなく、1+1=?から理解
を積み重ねて、考えていくことが重要です。』

『小学校から習ってきた理科や数学も、覚えるのではなく、自分が
納得する、つまり理解して自分の中で体系化することが重要です。
逆にもっともまずいのが、覚えることなのです。なぜなら覚える
ことは、考えずに信じることになるからです。そこには理解はあ
りません。算数や数学では、1つの原理を理解すると、その原理
はいろんな場面で自由に使えます。ところが、覚えているとそう
はいきません。・・』

とはいえ多くの塾では覚えて対応させようとしています。
タテマエは違っていても本音では、ね。

テストの数字が直ぐに上がらなければ塾を変わられそうで。

かといって、長く行かせて結果が出ないのも悲惨だし。


来年は13年ゼミの羽化する年にあたるそうです。
初夏、アメリカに行って見られますか?

P.S.
昨夜散歩をしていたら近くの山ではまだ多くのセミが鳴き
その中に、もうツクツクホウシの声が聞こえました。

つい先日には、カナカナが聞こえていたのに。

天声人語さん、そりゃあない

2010-07-23 15:23:35 | 塾あれこれ
ご婦人の背中にゴミがついていたら注意できます?
睨まれるに決まっているから黙ってますよね。
年齢を重ねるといろいろなことに「言わんとこっと」
が増えるのが普通です。


少し前の天声人語にこんなのがありました。

新聞の投書欄にのった若いお母さんの「声」に
同情されたのだそうです。

件のお母さん、子供を連れて電車に乗っていた。

とある駅で年配の婦人が降りしなに、お母さんへ
「子供、うるさい」と怒られたそうな。
思いもかけぬことにショックをうけ投書のお母さんは
以後、外へ出られなくなった!

天声人語の筆者は、若いお母さんと言うものは子供が
周りに迷惑をかけていないか気が気でないものだ、と
書かれます。
その気持ちを察して、周りの大人は懐深く優しく
接してあげたいものだ、と。


なるほど、大人の立派なご意見。
我々も相手の気持ちを思ってあげねばなりません。

でも、なにか引っかかるなあ。

ABふたりの当事者がおられます。
おおむね4通りのケースがありえますね。

ABともにそれなりの言い分があり正しい。
片方が正しく、片方に非がある。
ABともに問題がある。

細かなバリエーションがつき色々な場合があります。

片方の投書だけでは実際にどうであったかは不明です。

どうして一方的に投書母さんの応援をされるのか?

一般にマスメディアでは、若者と老人だと若い方を
もつほうが「受けがよい」からでしょうか?
若さを許すのが「大人」とされているようですねえ。


でも、それが巡り巡って子供の甘やかしにつながる
のではないか、というのが、かねてからの疑問。

いま、子供のわがままが目立つと思いませんか?
親がそれを生んでいるのでは、という気もします。
(もちろん一部の親です)

ヘンな世の中ですから「逆切れ」もオトロシー。
そこで、言わずに済ます、のが普通の人でしょう。

投書のお母さんに文句を言われた方も、そうしようと
我慢をして、こらえきれずに言われたかもしれません。
(真実は「藪の中」ですが)

大新聞の看板コラムでどうして一方的に投書の味方を
されたか、分からないんですよね。

人間、それも他人同士では意思疎通は難しい。
いき違いもしばしばあり得るでしょう。

相手に間違いがあって、こちらとしては腹が立っても
通常は「やむを得ないか」というのが大人でしょう。
いくら若いお母さんでも、一応よい大人ちゃう?

大人が、それをわざわざ投書するかね?
「怒って逃げた」婦人への仕返しでしょ?結局。

それを天下の天声人語がとりあげ
なおかつ「お母さんに優しく」・・とは。

多少話が飛躍しますが、天声人語の筆者のような姿勢が
投書のお母さんのような人間をはびこらせ
その子供がけっきょく・・


会社でも教育をすべき世代が若いものを甘やかしてきた
それが今のダメ日本を招いているように思うのです。
証明はできませんが。

嫌われても言い続ける義務が年配者にはあるのに
「我が身可愛さ」で、定年まで何とか勤めればよい、と。
嫌われるってヤなもんですからね。


こんな憎まれ口を叩いて私には何の得にもなりません。
それどころか、反営業的で、またカミサンに叱られます。

でも、営業のために知らんふり、って我慢できない性格。
因果なものであります。

ここまできたら嫌われても良い。
どうせ小言幸兵衛。
「食人」はしたくないからねえ。

効果があるとはどういうことか

2010-07-22 10:52:16 | 本の話
ブルーバックスの『アレルギーはなぜ起こるか』
斉藤博久著

比喩的な題名ではなく、アレルギー研究の専門家が
どういう病気か、を一般向けに解説された新書です。

ピーナツを食べた恋人とキスをして、それで死亡した
ピーナツアレルギーの人がいた!(カナダですが)

アレルギーでも亡くなる方がいるのですね。

生活環境が清潔でないほうがアレルギー疾患になり難い
これは最近TVでよく報道されていますが、本によると
おおむね正しいようです。

かといって日本の家庭で牛を飼うわけには・・
綺麗すぎる家庭環境がよくないというのもツライですね。

よって斉藤先生は、予防するために特別なことはしない
ほうがよいというご意見です。
現代社会ではアレルギー体質である、というのは普通の
ことで、場合により、疾患がでれば薬や日常生活の工夫
によって対処すればよいのです。
風邪をひいたり、たまに腹痛があったり、と同様に
とらえればよいということでしょう。

不確実な情報に振り回されるな、ということです。
何かあれば受診すればよいのです。
迷信に近いことを信じるのは危険ですね。


本は、アレルギーのしくみについて、ブルーバックスらしく
細かく(分かりやすく・・・・)書いていただいていますが
やはり難しくてついてゆけない、ですね。

つい(比喩的な)部分に目がいってしまいます。

以下、本から引用します。

『以上の予防対策についてですが、すべて確率論、
リスク論であることを理解していただきたいと思
います。
すなわち、「上に兄が二人以上いれば、下の子供
は絶対アレルギー疾患にならない」ということは
ありません。
リスクが二分の一くらいに下がるということだけ
です。
一人ひとりを見るとはずれることも多いのです。』

研究が進んだ現代の医学でもこういうことです。
「こういう条件であれば、これこれの確率で・・」
という具合に(薬の効能などと同じく)
良い悪いを「何倍も違う」と伝えられても
惑わされないことが大切です。

ごく小さな確率で起こることは2倍3倍になっても
ごく小さなリスクしかないことに変わりはないのです。

もいろん知らないより知っていることは重要ですがね。


教育は医学のようには研究が進みにくい分野です。

人の教育効果とは何十年もたって立ち現れることも
あるからです。
(しかも人間って変わるものです。良くも悪しくも。
 何が教育の影響なのか、判定は至難でしょう。)

また研究とはどうしても確率的な結論になるもので
占いではありませんから、この子は将来・・、と
アテものをすることではありません。
神様じゃないから。

「そんなことをしていると将来伸びにくい」と経験で
言えても、その子はどうなるかは分かりません。

そこを含んで一種アイマイな、良い言葉で言うと
ふところの深い接しようが教育現場では求められます。

「この方法が絶対よいです」とか
「それをやってたらダメ。保証するから」などと
スパっと言いきれると楽なのですがねえ。