映画『心と体と』

2018-08-20 17:35:10 | 映画
ハンガリー映画『心と体と』

いやあ面白かった。
日本ではウケないようですが。


大人のおとぎ話です。

甘すぎるくらいのファンタジックな内容を
キレキレの手腕で映像化。
ベルリンで一位を獲ったのも分かります。


全ての映画がそうですが、見る前に内容を知ると駄目です。

この映画など特にそうじゃないかしらん。
手品のような展開に乗せられる心地よさったらありません。


もう少しだけ上映されています。
横川シネマ

お子様には不向きですので気を付けて。

『犬ケ島』

2018-05-26 19:59:13 | 映画
ウェス・アンダーソン監督の映画『犬ケ島』

前作『グランド・ブダペスト・ホテル』に続く傑作です。
すごい人がいるものですね。


ただ、日本で「うける」か?

十人に一人くらいかもしれません。
その代わり『う~ん』と唸る声がすごい。

いやもう凄い作品です。
アニメーションでなければありえない作品ですね。
(~でなければ、というのが重要なのです)

ストーリーの展開の巧さ
画面の緻密さ、美しさ
色遣い、構図・・
音楽も素晴らしい
表情の豊かさ

映画好きを自認される方は是非どうぞ。
ワンコ好きなら、なおさら。

ただし、舞台が少し暗い、かもしれません。
TVを寝っ転がって見るのとは違う世界です。


よく日本の文化を表現できるものですね。

それと同時に「ははあ、こう見えてるのか」
「我々はこう発信していたのか」ということも
感じさせられます。


アメリカって懐が深いですねえ。

シェイプオブウオーター

2018-03-06 18:06:59 | 映画
ミーハーたる私、さっそくアカデミー賞作品を
見てまいりました。

『シェイプ・オブ・ウオーター』
大人向けのファンタジー

まずまずの出来でしょう。

特殊効果なども素晴らしかったですね。
映像技術はどんどん高まるものとみえます。

御話はフツー
突っ込みようもいくらもあります。

映画の切符のコスパとしてはマズマズでした。


私が子供の頃TVを見ていた「Mrエド」が映画にも
ちらっと登場していました。

あのころがファンタジーの時代背景で使われるのですねぇ。
ついこの間のように思うのですが。

『ひつじのショーン』

2018-02-21 20:04:31 | 映画
映画『ひつじのショーン◎バック・トゥ・ザ・ホーム』
を見ました。
といってもTV録画です。

知らないことが多いモノですね。
こんなアニメなぞ全く知らなかった。
(カミサンはご存知でした)

いやあ、とにかく面白かった。
さすが。

ストップモーション アニメとしての出来も良く
脚本もキャラクターデザインもすべて素晴らしい。

子供も見るであろう世界でこれだけ御洒落に遊べるとは、
彼我のインテリジェンスを感じさせられます。

子供向きのよくある(冒険物語)なのですが
大人がニヤリとするところも多いのです。

最後の最後まで見逃せないのも私好みでした。

さっそく毎週の通常放送を録画予約しました。
一週間の楽しみが増えそうです。

『わたしは、幸福』

2018-02-14 10:23:25 | 映画
横川シネマに行ってきました。
アラン・ゴミスという監督の『わたしは、幸福』

すごい映画でしたね。
何年に一本出会えるかどうかのレベルでした。

映画好きを自認される方がおられましたら
お薦めの一本です。

日本人には受けない映画かもしれませんが。


まず、描かれた社会が「暗い」
日本と対極に位置する文化かもしれません。
そう、よく知らない世界。

同じ太鼓の音楽があるとして、日本とアフリカでは
まったく違うものである筈で
それと同様に映画で社会を表現するという手法は同じでも
まったく味わいの違うものが提供されているのです。

平凡な言い方ながら、現実は厳しく生きることは大変
それを真っ正面から描いているのです。

といっても「社会派」みたいな主義主張が目立つものでは
ありません。
一人の女性と家族の生きざまをある種ファンタスティックに
繰り広げてくれるのです。

けれど、繰り返しますが暗い!
画像も夜のシーンなど見づらいほどでした。
ん、そっちでも(暗かった。)

けれど描かれた人たちの「強い」こと。
我々では、あゝはいきませんね。


手持ちカメラで続く画面は描かれる暗さとエネルギーを
象徴するようでしたよ。

ヒッチコックがカメラのトリックを売りにしたのと反対に
映画の為には監督のもつ技術を惜しみなく投入しています。

それも今の進んだ映像技術なら簡単であろうことを
古い映像技術でやってのけるのです。

町全体が止まっている中をひとり走る男

人間の多さを表現する重ね撮り

カメラの移動もすごい


カミサンが「そうは言っても何故それが分かる?」
今の技術を使っているかもしれないと指摘します。

カメラの移動でも手持のままの移動なので
器械によるものとは違うのです。
もちろん質感も違う。


日本で当たらない・・んー 残念。

『希望のかなた』

2018-01-23 17:36:21 | 映画
カウリスマキ監督の『希望のかなた』

相変わらず傑作です。
この打率の高さも彼の好きな小津風ですね。


映画は淡々と市井の人を描きます。
どこがドラマなの、という入り方なのですが
いつの間にか惹き込まれてしまいますね。

登場する人の生き方がじんわりと伝わってきます。
けれどもテンポは遅くなく、沢山の人を描きます。

そうして見えてくるものは
(多様な生き方への肯定)です。

大袈裟にのたまうのではありません。
静かな世界です。

であればこそ人間社会の不合理さ
特に政治の醜さがちらりと、しかし鋭く現れます。

「人として」それは許されないだろう、と。

TVドキュメンタリなどの告発と違う
我々一人の視線がそこにあるのです。


難しい部分はさておきヨーロッパの社会を描いた
作品として楽しめばよいように出来ています。

すばらしい

「世界で一番・・」

2017-09-05 16:15:10 | 映画
石川梵監督のドキュメンタリー映画
「世界でいちばん美しい村」を見ました。

危惧していたとおり自意識過剰の駄作でした。
自分を売り込もうというナルシズムが目立ちます。

何も新しいものはありません。
ネパールの田舎にカメラを持ち込んだ、というだけで
無垢な人たちを踊らせていました。

文化の深い処までには到達せず
かといってシビアな社会状況に踏み込むこともなく
へらへらと「俺様が監督だ」

こんなのを生む現代日本も情けない限りです。

カミサンも言っていましたがドローンを使いすぎ、
ヤラセの様子を伺わせるに十分でした。

基本的にドキュメンタリーにドローンは
似つかわしくありません。
人々の懐に飛び込むのがドキュメンタリーですから

『人生タクシー』

2017-06-22 10:54:30 | 映画
『人生タクシー』イランの現状を描写した映画です。
これしきの表現の自由すら抑圧されている、という
インパクトに富んだ作品でした。

欧米での高評価はそれゆえでしょう。


ドキュメンタリなのか、ヤラセの多い作品なのか
再現ドラマなのか、あるいは全篇ドラマなのか
(そこが見えないので、どうも)

たぶんそれすらも検閲で抑え込まれているのでしょう。

日本の我々からは、もやっとした作品に見えます。


ただ、日本が進もうとする社会は同類のものと
思われますので、勉強になります。

国家の安全
機密保持
私利私欲の行為の隠ぺい
・・などなど

独裁者にとってはオイシイものばかり。
日本式のズルズルした変革でも目的地は
変わりません。

政府や官僚に対する対抗軸がないので
安心して進められるのでしょうね。

ロマの文化

2017-05-26 11:04:42 | 映画
映画『サクロモンテの丘』を見ました。

ロマ(ジプシー)のあれこれ、を描いています。

フラメンコの、ダンス・伴奏・歌
超絶技巧も捉えられています。
圧倒されますね。

映画のあとで、カンテが良かったとか、
ギター、カスタネットの踊り、タップ・・
などいくつも出色のシーンを話せます。

「すごいね。ナマで見たいね」


映画自体の出来としては「マズマズ」

あれもこれも詰め込み過ぎて平板になった感が
あります。

もっと音楽と踊りだけにしぼってもよかった、と
素人は感じました。

カンテが好きな私としては特にそう思うのか・・


厳しかった歴史などは別にもう一本。

『海は燃えている』

2017-04-14 12:35:52 | 映画
ドキュメンタリを言うならヤラセはいけない。

映画に描かれている「現実」は大変なことです。

ただ、既にTVなどで報じられていますから
インパクトは小さくなります。
映画の影響力がまだ大きいとしても。


大きな映画祭でもグランプリ。
政治、宗教、文化など様々に考えさせます。


近頃は作り手の主張を強く出した、
「ドキュメンタリなのか・・」が多いですね。

現実を下敷きにしたフィクション作品で構わない、と
思いますが、どうなのでしょう。

あるいは再現シーンと分かるようにするのが
真実の伝え手としてのマナーですよね。

それをしないでヤラセをし、現実のシーンに挟むのは
モラルに問題があります。
どこまでが真実で何がヤラセなのか、
どれもすべてデッチ上げかもしれません。

真実の発現が汚されます。


映画のなかほど、キッチンで働く女性。

受話器を手にとり、放送局らしいところに
音楽のリクエストをされます。

ここまでは良いのですが、次のシーンで
放送局に画面が変わります。
「はい、○○を、というリクエストですね」

ほぼ同時に二か所に撮影隊が訪れている、
・・普通はどちらかがヤラセですよね。

たまたまそんなことが起きちゃったのかな?


他にも、全く不要なシーンとかも散見され
興をそぎます。

折角、重要な問題提起を見せる映画なのに。