効果があるとはどういうことか

2010-07-22 10:52:16 | 本の話
ブルーバックスの『アレルギーはなぜ起こるか』
斉藤博久著

比喩的な題名ではなく、アレルギー研究の専門家が
どういう病気か、を一般向けに解説された新書です。

ピーナツを食べた恋人とキスをして、それで死亡した
ピーナツアレルギーの人がいた!(カナダですが)

アレルギーでも亡くなる方がいるのですね。

生活環境が清潔でないほうがアレルギー疾患になり難い
これは最近TVでよく報道されていますが、本によると
おおむね正しいようです。

かといって日本の家庭で牛を飼うわけには・・
綺麗すぎる家庭環境がよくないというのもツライですね。

よって斉藤先生は、予防するために特別なことはしない
ほうがよいというご意見です。
現代社会ではアレルギー体質である、というのは普通の
ことで、場合により、疾患がでれば薬や日常生活の工夫
によって対処すればよいのです。
風邪をひいたり、たまに腹痛があったり、と同様に
とらえればよいということでしょう。

不確実な情報に振り回されるな、ということです。
何かあれば受診すればよいのです。
迷信に近いことを信じるのは危険ですね。


本は、アレルギーのしくみについて、ブルーバックスらしく
細かく(分かりやすく・・・・)書いていただいていますが
やはり難しくてついてゆけない、ですね。

つい(比喩的な)部分に目がいってしまいます。

以下、本から引用します。

『以上の予防対策についてですが、すべて確率論、
リスク論であることを理解していただきたいと思
います。
すなわち、「上に兄が二人以上いれば、下の子供
は絶対アレルギー疾患にならない」ということは
ありません。
リスクが二分の一くらいに下がるということだけ
です。
一人ひとりを見るとはずれることも多いのです。』

研究が進んだ現代の医学でもこういうことです。
「こういう条件であれば、これこれの確率で・・」
という具合に(薬の効能などと同じく)
良い悪いを「何倍も違う」と伝えられても
惑わされないことが大切です。

ごく小さな確率で起こることは2倍3倍になっても
ごく小さなリスクしかないことに変わりはないのです。

もいろん知らないより知っていることは重要ですがね。


教育は医学のようには研究が進みにくい分野です。

人の教育効果とは何十年もたって立ち現れることも
あるからです。
(しかも人間って変わるものです。良くも悪しくも。
 何が教育の影響なのか、判定は至難でしょう。)

また研究とはどうしても確率的な結論になるもので
占いではありませんから、この子は将来・・、と
アテものをすることではありません。
神様じゃないから。

「そんなことをしていると将来伸びにくい」と経験で
言えても、その子はどうなるかは分かりません。

そこを含んで一種アイマイな、良い言葉で言うと
ふところの深い接しようが教育現場では求められます。

「この方法が絶対よいです」とか
「それをやってたらダメ。保証するから」などと
スパっと言いきれると楽なのですがねえ。