やはり韓国映画はスゴイ

2009-03-31 15:10:21 | 塾あれこれ
近年は映画そのものをあまり観ません。
ましてや韓国映画は少ない。

したがってうんぬんする資格はないのですが
その数少ない私が見た韓国映画はほとんどが出色の
作品で、やはりレベルが高そうですね。

ビデオでいささか前の韓国映画『大統領の理髪師』
を見ました。
韓国でヒットするはずですよね。
これほどレベルが高い映画がヒットするということは
観客のレベルも高いということになりそうです。

『大統領・』はイム・チャンサン監督2005年作

韓国の経済発展の基礎を固めたパクチョンヒ大統領
むかし私達は「ぼくせいき」と日本読みをしていた
あの方の時代を描いた作品です。
最後にチョンドファン大統領らしきオツムの方も
登場しそれなりに重要な役回りを果たされますが
映画を見ての楽しみですね。

あのギャク(ベタといえばそうですが)には
笑ってしまいました。


私が言うまでもなく映画を創り上げるための
脚本、出演者、画面(カメラ、照明、特撮等)
音楽を含む編集、これらすべてがハイレベルです。

何よりも監督の目がいいですよね。
作品の意図がきちんと伝わり、かつ誰でもわかる
エンタテイメントになっています。
家族の愛で救われますよね。

少し前の韓国風の話もうまく盛り込んであるし。

私のイメージでは韓国映画はどこかフランス映画に
似ているのです。
細かいところを描きながらそれぞれがはっきりとした
意味を伝えてくれます。
カットつなぎなども気持ちが良いものです。

日本映画や東南アジアのものは細かいのですが情緒に
流れすぎて、クリアーでないところが多いのです。
乗り損ねるとタイクツ。


この映画の風刺、よいバランスですね。
ユーモアがブラックになる手前で止めてあります。

実話を上手に使う脚本も大変見事です。

政治のありようを下からの視線で捉え、強いものには
勝てず頭を下げ続けるけれども、最後に人としての
誇りは保つのです。

(したたか)というより(しなやか)

軍事政権で起こりやすい官僚の腐敗とは正反対の
世界からのまなざしが気持ちよいですね。


これを見ていて、井伏鱒二の姿勢によく似ていると
気づきました。

今の日本では絶滅しかけている姿勢ですけれども
韓国はハードな時期がつい最近まで続いていたので
まだボケていないのでしょう。

『徴用中のこと』

2009-03-30 10:51:54 | 本の話
井伏鱒二著中公文庫『徴用中のこと』

井伏氏が太平洋戦争の開戦直後、マレー半島を
シンガポールまで軍と共に歩んだ話です。

勝っている戦争とはいえ過酷な状況であった様子
が伝わってくるので簡単に読み飛ばせない本です。

40を越えたすでに直木賞を得ている作家が前線に
赴くのですからそれだけでも厳しいことでしょう。
同じ班から戦死者も出ています。


文庫の解説に井伏研究で知られる東郷克美が記す
ところによると井伏氏自身悪夢にうなされながら
米寿を越えて書き続ける執念を持っていたそうで
まさに井伏文学の「原点」ですね。

(さすがに、短くとも良くできた解説です)

その成立に問題がある『黒い雨』よりも『徴用・』
が今の私にはインパクトの強い作品でした。


カミサンがときどきこのブログを覗いて
「相変わらずクライ。文句ばっかり書いてる」
と当を得たコメントを発せられます。

私の人間としてのスケールがあればもっと興味深く
書けるのだろう、とはこの『徴用中のこと』を読ん
で思うことです。
井伏と比べるなど(をこのさた)ですが。

人間というもの、システムということ、その中の
負の可能性(通常、危険性と言いますがちょっと
ニュアンスが)を深く見つめながら、どこか面白い
ただ興味深いだけでなく、飄々としている文体は
さすが大文学者の筆です。

真似しようにも出来ないのは百と通じますね。


日本軍、日本人のいやな側面が多く見えるので
ウヨクの方には受けが悪いし、下の世代の方は
避けて通られる本かもしれません。

日本人というより、人間とはという厳しい視点で
書いておられる本ですから、広く読まれるべきと
思います。

といっても読まれないでしょうけれども。

私は広島に生まれたゆえ原爆のことを何らか
考えざるをえないところがあります。

さまざまな政治がまとわりついた問題です。

だからといって遠ざかる人間が私の知る中でも多い
のですが、知ったつもりになっているだけはないか
と生意気にも思います。

暗くても知らなければならない。

つらいことを伝えようとした先人の遺志を
私達も、いくばくかでも受け止めねばなりません。

医学も進むけれど

2009-03-29 18:44:57 | 塾あれこれ
早くも一年の四半分が過ぎようとしています。

大きな建物の総合病院通いも一応終了
しばらくは朝ゆっくりできそうです。

通っていた病院はこのあたりで一二を争う規模です。
一般病院からの紹介が必要でイチゲンさんはお断りの
ところ。

私の場合、家から一番近い外科に行くとレントゲンを
撮り骨折が判明
すぐその足で紹介されたこの病院に来たわけです。

迷った挙句、手術はしないことにしました。

でもそのほうがリハビリには時間が余計に掛るなんて
教えてくれませんでしたね。

色々事情があるかもしれませんが、若い担当医は長所
短所それぞれですよ、という以上の説明はされません
でした。
あまり細かく言うと判断に迷うというお考えかもね。

結論から言うと今現在ほぼ治ったので文句はなかろう
というところですが、後遺症というかリハビリの関係
でしょうか、肩がひどく痛くなっています。

手術をしてリハビリの期間を短くする方が私には合っ
ていたのか、なんて思いますね。
体は硬いし、ひどい肩こり腰痛持ちで仕事はこうだし
自分で痛いことをマジメにするタイプではないし・・


大病院の場合、担当は誰が良いなんて選べませんし
そこを信じるしかありません。

開業医ですとどこがよいとか選べますよね。

もちろん大きな病院は設備もよかろうし手術も慣れて
いるでしょうし、医療システムが現在のようになる前
でも大きなところに行く人が多いのでしょう。

今の日本では小さなところは手術などしたくないから
大きなところへ送り込みます。

大病院はそれを(さっさとこなす)!

全体として悪かろうハズはないし、代わるシステムも
考えられません。
進んだ医学を多くの人が受けられる良いシステムとは
思うのですが、なんだか、ちょっとネ。

欲張りすぎの感想ですかね。

一応終了と言う先日、担当のお医者さんが「ぼくは別
の病院に行きますが引継ぎはしておきます」と言われ
なぜか肩透かしをくらったような気がしました。

長い時間待って、5分の診察。
細かいことなど聞けません。

そのあたりが物足りないのでしょう。
ゼイタクな話かな。

ただ身近にリハビリの経験がある人もいないと
自分では判断できないことが多いのでこんなとき
聞きやすい身近の病院にも(大病院と平行して)
行けないものかと思いました。

やはり、あの学校じゃネ

2009-03-28 11:34:49 | 塾あれこれ
先日散歩をしていて角を曲がったとたん
すぐ向こうから大きなマスクをした男性が歩いて
こられました。
向こうも散歩の感じです。
目が合ったような、合わなかったような。

勝手に憶測するに「マスクしているから分らない」と
知らんぷりを決め込まれたようです。
近くの私立高校のN先生でした。
重要なポストにいらっしゃる方だし利発そうな顔立ち
は目立ちますね。

私をご存じないはずはありません。
二十人程度の集まりで何度も同席し、学校側を代表し
て私の質問に答えられたことも多くあります。

まあ、気がつかなかったのでしょう。
決して私に挨拶がないと怒っているのではありません。
そんなことは業界では日常茶飯事ですから慣れっこ。

ただ思ったのは、私立の学校ですから先生方も常日頃
から営業を念頭に置かれた方が・・ということです。

私が今回気づいたのは5m先、そして20cmくらいで
すれ違ったのです。
会社員なら気づかなかったでは済まないでしょう。

たかが弱小塾にであれ「営業の挨拶」をすべき立場の
方ではないでしょうか。
まあ、学校の先生にはよくみかけることです。

なるべく塾とは口をききたくない。
分ります。それ。
校長がいうから仕方なく営業をするけどホンネは・・

でも今時、それで学校大丈夫なの?
今のスベリドメのままで良いのかしら。
弱小塾に顔をむけなくても構わないかもしれませんが
普段の姿勢がいずれどこかでマイナスを生むのです。
校長や営業担当の方は一生懸命ですけれど。

昨日の広電と正反対ですね。


で、あんたはどうなの?挨拶しないでいいの?

そういう声が聞こえます。
誠に申し訳ないのですが「営業」する気がありません。

自宅で塾を始めてから名刺すら持ちません。

向こうも無視したい塾から声をかけられ挨拶を強要
されるのは不愉快なことでしょう。

ですからこちらから先には動きません。
相手の様子により態度を決めております。
いつも人の顔を見て歩きますね。近くなれば目。

繰り返しますが、腹を立てているのではありません。

学校全体で盛り上がれば違うのに、とオセッカイにも
思うだけなのです。


これもつい先だっての話です。
今度は生徒。先の学校とは違います。

通勤通学の朝の電車です。

背中に特大のスポーツバッグを持つ女の子三人です。
通路に横一列でしきりにおしゃべりをしておられる。
後ろを何人も苦労して通り抜けるのに気づかない。

ふと見ると三人の前の椅子は何人分か無人です。
つまりブロックしている!少なくとも結果的に。

学校の名前が入ったものを着ているのにと思うと
いっそう「ニブサ」が気になります。

オジサンも相手がオバサンなら露骨にならない程度で
注意もできるけれど、若い子にはできません。
何と思われるか、言われるか。
尋常に話が出来る反応が見込まれませんからねえ。

背中の特大鞄にはアクセサリーでしょうか人形が幾つ
もぶらさがっています。
まるで(ヒロシマタロウ)なんだよね。
え?
彼は広島の中心街で良く見かけるレゲエのおじさんです。

もちろん悪意でのマナー違反ではないでしょう。
でも、悪意でないから、気がつかないから
却って良くないのです。
自分をコントロールできないことだから。
大人になっていないわけです。


学校は教師も生徒も努力しておられます。
女子高だからシツケも大切と。
しかしこういうのに出くわすと「やはりね」と
思ってしまいます。

学校の努力を知らない世間の人は私以上に
固定観念をもっているかもしれません。
懇談でその学校を勧めてもロコツなことを言われる
大人もまだ多いのです。

将来はあの三人にも「~出身」が戻ってくるのに。


もっと偏差値の高い学校、評判の良い学校の生徒でも
結構みかけることです。

しかしダメージが違うのですね。
「やはりネ」というのはきついし永続的です。

そう見る世間の目が良いとは言いません。
しかし現実はそうなのです。
そういう社会が待ち構えているのです。

全人教育を謳う学校は月謝を頂く手前、もっと
成果のでることを求められているようです。

広島電鉄

2009-03-27 10:47:11 | 塾あれこれ
新聞第一面に「広島電鉄、契約社員全員を正社員に」
という記事が載っていました。

少し前NHKTVの30分番組でこの問題を取り上げ
春闘の季節、大変な交渉が続くだろう、とされてい
ましたので驚きました。

労使ともに思い切った選択ですね。
そして正しいことであろうと思います。

株価はそのニュースのせいかは分りませんが、昨日は
3%強の値下がりになっていました。
契約社員がいたほうが経営には良い、というお考え
かもしれませんが、古くない?

センスが悪い人が売りに出したのかなあと思います。
といっても取引量は少ないはずです。


正社員と契約社員の話ですが、近年広電は運送部門の
人件費対策として契約社員を増やしてきたのです。

正社員は雇用が安定し年功序列で給与も上がりますが
契約社員は何年たっても195000円のままなのです。

これでは雇用条件が悪すぎるので正社員に変わりたい
のですが、経営側は正社員の給与上昇をカットすれば
正社員化が可能だとしていました(TVでは)

いままでの正社員で給与が比較的高い人はカットが
大きくなるのでとても飲める話ではありません。

組合としては難しい交渉がこれからも続く、として
TV番組は終了しました。


身を切られる思いのシェアリングだったと思います。

しかし、会社の働く環境を良くすることが仕事を
良いものにし企業の生き残りや成長につながるハズだ
という正しい判断が働いたのでしょう。

サービス業なのですから働き手の比重が高いのです。


以前は広電もご他聞に漏れず激しい労働運動が展開
され、24時間ストなんてことも確かありましたね。

私は広電が輸送部門の赤字対策として学生のアルバ
イトを車掌にした『一期生』です。

当時は組合が大きく二つに分かれ、それぞれ対立が
強かったものです。
バイトに向かってまで対立する組合の悪口をたっぷり
聞かせて下さいました。
悪口と言うより、嘆き節かな。
「困ったもんなんだよ」と。

何しろ一日の仕事で運転手と車掌のペアは変わらない
のですから、いろいろ話もするわけです。
学生はただただお伺いする、何度聞いていても
「ああ、そうなんですか。。」


あのころから比べるとまるで違う会社のようです。
労使紛争の重さが教訓になっているのでしょう。

広電は(路面電車のデパート)ばかりが有名ですが
細かい工夫と努力を数多く積み重ねてきました。

運行が乱れ、電車が数珠繋ぎで走っているなんて
最近は見ないのではないでしょうか。
昔はお客様によく叱られたものです。

車を持たない貧乏エコ派としては公共交通機関に
頑張っていただかないと。
ヒロデンにエールを送る次第です。

読みかけて

2009-03-26 12:29:54 | 塾あれこれ
数日前、ツバメを見かけました。
観察をしている人はもっと早く出会っていたでしょうが
一日に30分しか外に出ない(ことが非常に多い)私には
早めの出会いだったかもしれません。

ここでツバメの写真があればよいのでしょうがわが娘では
サマになりません。
何で今日の投稿にネコ二匹の写真なのか、
というとまったく理由はありません。スミマセン。

ツバメが来るとカモは減りますね。


昨日はもう少し長く、後に映画は(時間の缶詰)という
話を続けようと思っていました。
いったん時間切れになると冷静さを取り戻し
面白くない話だから先送りすることにしました。


三月は長い月でした。

高校入試、保護者懇談、新年度体制、歯医者、リハビリ

やっと一区切りつきかけています。
それにしてもくたびれた。
例年通り今年も20~22は休んでいればよかったのに
仕事しちゃって、それも響いたかもしれません。

本を読みたくなってきました。


ブログのネタが切れてきたので、今読みかけの本の
リストでも書いてみます。
私は何冊も同時に読み進めるタイプなので。

読みかけて一定の時間中断しているものは入れません。
面白い本なのになぜか放りっぱなしが沢山・・

読みかけて面白くないものは古本屋行きです。
こちらの方が少ない。

いま読みかけているものは・・8冊
講談社文庫=幕末日本探訪記、ギリシア・ローマの盛衰
      中世民衆の生活と文化
小学館文庫=道具が証言する江戸の暮らし、町工場技術報告
ちくま新書=サムライとヤクザ
講談社新書=日本語の森を歩いて
中公文庫=徴用中のこと

井伏鱒二の『徴用中のこと』は読了すれば書きますが
重たい内容なのでページが進みません。


一冊ずつ読むタイプの人はよくそんなことができると
非難されますが、TVドラマなら連続モノを毎週に何本か
見ても混乱しませんよね。

それと同じです。
慣れれば何冊も平行して読むほうが整理できますね。


読む時間は少なくなり、目は悪化し、理解力はそれ以上
凋落を重ね、という具合ですから、もう暫く生きても
あと何冊の本を読むことができるでしょう?

若いうちに読んでおくべきでしたね。

天才・早坂文雄

2009-03-25 15:09:27 | 塾あれこれ
昨日は『酔いどれ天使』の(対位法的映画音楽)
について触れました。

翌年の『野良犬』でも同様に、激しい闘いが終わって
倒れた二人に聞こえてくる子供達の明るい歌声。
少し離れた所を通り掛る子供達が小学唱歌「ちょうちょ」
を歌っているのです。

『酔いどれ天使』のカッコウよりも一段と進んだ役割が
この「ちょうちょ」にはあります。
明るく純真な歌声がその場を救い、人々に希望を与えて
くれるのです。

秋山さんは(わが国では初めての・・実験的な手法)と
褒めておられます。
(すこし褒めすぎかなあ?)


早坂文雄は48年の『酔いどれ天使』から黒澤映画の
音楽を担当し、主なものだけでも
49『野良犬』50『羅生門』52『生きる』54『七人の侍』
黄金期の黒澤と共に働き、倒れるまで続きます。

また(早すぎた)晩年には溝口健二の日本を代表する
傑作群53『雨月物語』54『山椒太夫』54『近松物語』
の映画音楽も担当しています。
黒澤映画とは違う、より日本的な音楽です。

黒澤と溝口!すごい仕事ですね。


早坂の仕事から黒澤は『羅生門』のラストを作りあげた
のではないかと思うほど『野良犬』の♪ちょうちょは
後につながります。
『羅生門』の、皆が絶望したなかで赤ん坊が泣く声が
未来に向けた救いを提示してくれます。

ここは何とも見事な演出。

実は大昔に私の父がその映画を見たこともない息子に
一生懸命話をしてくれたことを思い出します。


『野良犬』に戻しましょう。

この映画では♪ちょうちょよりもスゴイ音楽の使いかた
がありました。

秋山さんは当然そこにも触れています。

『流行歌やジャズ・・夥しいコラージュ』
『若い刑事が犯人を追って真夏の街を歩き回るシーンの
 何十曲という通俗曲のコラージュ・・リアリズムの
 映画音楽』

何十曲はオオゲサですが、いまの目から見るとちょうちょ
よりもこの部分が斬新だと私は思います。
秋山さんは軽く触れているだけですが。


『野良犬』は黒澤のネオリアリスモだったのですが
ドキュメンタリタッチの続くこの「追っかけ」が
映画の山かもしれません。

セリフはなく、ただただ三船敏郎が街を歩きます。
そこには戦後の活気ある、あるいはワイザツな街が
生き生きと現れます。
当時の日本を知るフィルムとしても一級でしょう。

そのカットを音楽(流行曲)がつなぎます。
音楽がないと成り立たない部分なのです。
そうしてここにも主人公のあせる気持ちを際だたせる
明るい曲想が並んでいます。

三船が歩くいくつかのカットで一つの街を現し
また別のシーンの何カット、これが延々と続くのですが
一つのシーンは一曲でつないであるので見ているほうは
ダレません。
とても斬新なアイデアですね。

今の私達は戦後の流行曲として懐かしくその時代を
思い浮かべるのですが、当時は流行の先端であったのです。
よくこれだけの曲を映画に当てはめたものですねえ。


次に来る『生きる』の♪命短し、は余りにも有名ですね。
更に『七人の侍』のテーマをいくつかつくる手法など
早坂の仕事は(黒澤も)素晴らしいものです。

(時間ギレです)

黒澤・野良犬

2009-03-24 13:51:57 | 本の話
写真は秋山邦晴の『日本の映画音楽史Ⅰ』です。
田畑書店1974年刊

本の最後に続巻の予告はありましたが結局出版されて
いないと思います。
当時、大変に面白く読んだ記憶があり次を待っていた
のですが。

この本でも大きく取り上げられている音楽家早坂文雄
は幅広い活躍をされましたが早くに病没されました。
(1914~1955)
彼は、映画音楽でも素晴らしい仕事をしていることが
この本に書いてあります。

著者秋山邦晴も多彩な音楽活動をされたようです。
この本の続巻が出ていたら面白かったでしょう。


いや、まずクロサワの『野良犬』からでした。

タイトルバックで野良犬が、ハアハアしているところ
からして笑っちゃう、今から見れば「古~い」映画
ではありますが良いところも多かった。

実は、つい最近までなぜかこの映画を未見でした。
私の世代の映画ファンで黒澤作品の中に見ていない
ものがあるなんて(モグリ)ですよね。

最近やっとNHKの黒澤特集でビデオにとり鑑賞できた
のです。
以前に見ていたらもっと感動したでしょう。

ドキュメンタリーの味わいを滲ませた娯楽作品で
なかなか、そのバランスがよろしいのです。
この二つの融合は難しそうですから。

すぐに思い浮かぶのがイタリアのネオ・リアリズモ。
リアルでドキュメンタリー風のタッチでありながら
甘いドラマの味があるのです。(悲劇でも)

ロベルト・ロッセリーニ『無防備都市』'45
ヴィットリオ・デ・シーカ『靴みがき』'46 『自転車泥棒』'48
ルキノ・ヴィスコンティ『揺れる大地』'48

『野良犬』が'49です。
ただ、上記伊映画の日本公開が'50~らしいので
黒澤が直接影響を受けているわけではなさそうです。
世界中、時代も社会も同方向に向いていたのでしょう。

脚本にはムリが目立つのですが映画の目が戦後日本を
リアルに写すことに向きドラマの出来を二の次にした
というところがあるのでしょう。
証拠はありませんが。

『野良犬』の一年前『酔いどれ天使』はドラマ性を
前面に出して成功したのですが次はもっとリアルな
映画を撮りたくなったに違いありません。

その『酔いどれ・・』で主人公がひどく落胆して
街を歩くシーンがあります。
そこにマーケットの拡声器から聞こえてくる
『カッコウワルツ』

悲しいシーンに明るい音楽を対比させ、主人公の
気持ちを見ている人に深く伝えます。

秋山さんは本で「対位法的な映画音楽」と
書いておられます。

今では陳腐ともいえる手法ですが当時は斬新で
評判になったそうです。
映画音楽の賞もとっています。

これは黒澤監督が音楽の重要性をよく知り
かつセンスがあったからなのですが
音楽担当の早坂さんとのコンビも抜群であった
ということです。


早坂文雄の映画音楽と映画『野良犬』については
もう一回書きます。
いつもハンパに終わってスミマセン。

よみがえる黄金文明展

2009-03-23 14:22:49 | 塾あれこれ
古代トラキア文明展です。
Thracian Treasures from Bulgaria

本格的な外国からの展覧会は広島では長くなかった。
ブルガリア一国を挙げて(渾身の)ことです。

これが大阪や京都なら分りますが文化不毛に近い
この広島でよく開いてくださった。

実は、見に行くべきか迷っていました。
どうせ金ぴか趣味。。


私としては「古代トラキア文明展」の方が行きやすい
けれど、集客は「黄金の・・」ほうがありますからねえ
仕方がない名称でしょう。

でも、危うく見逃してしまう所でした。

で、もしも「金ぴか」イメージで控えている方が
いらっしゃったら、騙されたと思って行って下さい。

いや素晴らしいのなんの。

本当は子供達も見ておくべきでしょうね。


金、銀、青銅などを打ち出して造形したものが多く
その技術の高いこと。

どんな技法?道具?と感心します。

照明も不十分でレンズもない古代にあれほど細かい
仕事がよくできるものですね。

それよりもデザインの素晴らしいこと。

現代の芸術作としてもハイレベルでしょう。
いや、作れないか。

ギリシャ風の壷も美しかったし、大理石の彫刻も
品のよいものでした。

日本では二度と見られないかもしれないものばかり
でしたね。

あきれかえるほど、笑っちゃうほど、ため息が出
そしてハッピーになれました、よ。


常設展で丸木位里とスマの絵が何枚も見られます。
これも宜しいものでした。

会期の残りは少ないですが、せっかくの春休み
小中生から美術の好きなあらゆる大人の方まで
ぜひぜひ。

ほんとに、広島では滅多にない充実した展覧会です!

チーズで饂飩

2009-03-22 11:02:05 | 食べる
昨日、肌寒かったのでウドンにしました。

真冬なら、もっとエネルギーが出そうなものを
頂きますが、今の季節、暖かかったり寒かったり
そういうときはホット饂飩を食べたくなります。

ウドンのつゆに溶き卵をいれて加熱するのですが
よくコシを切った卵にパルメザンチーズの粉を
たっぷりと入れておきます。

温まっている汁にその溶き卵を流し込み蓋をして
少しだけ加熱すれば、あ~ら、フンワリとした卵の
出来上がり。
チーズが入るとこんなに柔らかくなるのですね。

ヨーロッパではあちこちにあるスープのようですが
それをウドンに応用しただけです。

この場合パルミジャーノ・レジャーノはある程度
良いものを使いたいですね。
チーズ下ろしでたっぷりと作っておき卵に混ぜます。

ウドンは細めよりも太めが合うと思います。

うどんつゆは自分の好みを作ろうと、買ってこようと
構わないでしょうが、チーズの塩分を考えてほんの少し
塩味を薄めにするのがよいようです。
これにあと少し塩を入れれば、という手前です。

卵が塩を食いますのでチーズの塩分をあまり過大に
想定しないほうがよろしいかと思います。

青みはイタリアンパセリがよいでしょうね。あれば。
我が家の昨日は青ネギで代用しました。

うどんつゆも安直に自分で作ります。
買ったら高いもの。

昆布出汁、秋刀魚節の出汁、大豆の水煮の出汁を
同割にしてあとは調味料、醤油は控えめです。
ウドンのときは梅干の種が隠し味。

昆布と秋刀魚はそれぞれ水出し。
楽です。
大豆は自分で煮ないとたぷりの出汁は取れません。
買った物はねえ・・
これは少し時間が掛かりますが水煮をしておくと
冷凍できますから。