「江戸の時代には往来が暗かったせいか
いろいろと動物が化けまして
狐に狸 こりゃどなたもご案内
そのほかムジナが化けまして
カワウソが化けた」 (『権兵衛狸』のマクラ)
ご存じ八代目正蔵の噺の入りをwebから引用しました。
馴染深い動物だったのですね。
そのニホンカワウソの絶滅が先日公式に発表され
時代というものを思わされます。
○
トキと並んで日本の滅びゆく野生動物の象徴ですが
『カワウソと暮らす』という本を読んでいなければ
「絶滅ですか」と思う程度だったかもしれません。
G・マクスウェル著、松永ふみ子訳の名著です。
手元にあるのは冨山房百科文庫1988年の第3刷
第1刷は82年に出ています。
(もう少し前に読んでいたと思っていましたが記憶違い)
とても面白い本で60年にイギリスで出版され大ヒットした
そうです。
いかにも彼の国らしい「文学」で英文化の奥行を感じます。
とにかく筆者が飼っていたカワウソの可愛いのなんの。
○
本の最初に(はしがき)として増井光子さんが文章を
寄せておられます。
上野動物園園長などでも有名な方で著作多数。
低く歯切れの良い声を覚えておられる方もおありでしょう。
事故で急逝されてもう2年がたちます。
増井さんの(はしがき)はこう始まります。
「数多い動物のなかで、最も可愛いく魅力的な動物を挙げる
とすれば、私は躊躇なくカワウソを挙げたい。」
サル、クマ、パンダ・・人気がある動物たちをさしおいて。
あの増井さんが言われるぐらいですから信憑性がありますよね。
その可愛い、興味深いカワウソとスコットランドに暮らす生活は
「遠い昔への郷愁を抑えきれない気分にさせられる。」
・・・ただの記録ではなく、文学たる所以ですね。
イギリスで出版された頃のスコットランドって
良かったでしょうね。
なんにもなくて。
○
訳の松永ふみ子さんは絵本の世界でも有名なかたです。
出版の数年前(79年。於高知県。これが最後だったようです)
ニホンカワウソの生存が確認され、それも松永さんの
完訳本出版のきっかけにもなったようです。
その当時から30余年後、いま思えばあのころはまだ良かった。
近年、水が綺麗になったなどと環境の好転も言われてますが
野生生物にとってはますます生きづらい日本です。
次は人間の番。
「高転びに転ぶ」に違いありません。
○
ペット好きの方には一度読まれる事をお勧めしたい本です。
せめてこんな生き物が日本にいたことだけでも
子供たちに伝えたいですね。
○
なお、マクスウェルさんが飼っていたのはニホンカワウソ
ではありませんので念のため。
いろいろと動物が化けまして
狐に狸 こりゃどなたもご案内
そのほかムジナが化けまして
カワウソが化けた」 (『権兵衛狸』のマクラ)
ご存じ八代目正蔵の噺の入りをwebから引用しました。
馴染深い動物だったのですね。
そのニホンカワウソの絶滅が先日公式に発表され
時代というものを思わされます。
○
トキと並んで日本の滅びゆく野生動物の象徴ですが
『カワウソと暮らす』という本を読んでいなければ
「絶滅ですか」と思う程度だったかもしれません。
G・マクスウェル著、松永ふみ子訳の名著です。
手元にあるのは冨山房百科文庫1988年の第3刷
第1刷は82年に出ています。
(もう少し前に読んでいたと思っていましたが記憶違い)
とても面白い本で60年にイギリスで出版され大ヒットした
そうです。
いかにも彼の国らしい「文学」で英文化の奥行を感じます。
とにかく筆者が飼っていたカワウソの可愛いのなんの。
○
本の最初に(はしがき)として増井光子さんが文章を
寄せておられます。
上野動物園園長などでも有名な方で著作多数。
低く歯切れの良い声を覚えておられる方もおありでしょう。
事故で急逝されてもう2年がたちます。
増井さんの(はしがき)はこう始まります。
「数多い動物のなかで、最も可愛いく魅力的な動物を挙げる
とすれば、私は躊躇なくカワウソを挙げたい。」
サル、クマ、パンダ・・人気がある動物たちをさしおいて。
あの増井さんが言われるぐらいですから信憑性がありますよね。
その可愛い、興味深いカワウソとスコットランドに暮らす生活は
「遠い昔への郷愁を抑えきれない気分にさせられる。」
・・・ただの記録ではなく、文学たる所以ですね。
イギリスで出版された頃のスコットランドって
良かったでしょうね。
なんにもなくて。
○
訳の松永ふみ子さんは絵本の世界でも有名なかたです。
出版の数年前(79年。於高知県。これが最後だったようです)
ニホンカワウソの生存が確認され、それも松永さんの
完訳本出版のきっかけにもなったようです。
その当時から30余年後、いま思えばあのころはまだ良かった。
近年、水が綺麗になったなどと環境の好転も言われてますが
野生生物にとってはますます生きづらい日本です。
次は人間の番。
「高転びに転ぶ」に違いありません。
○
ペット好きの方には一度読まれる事をお勧めしたい本です。
せめてこんな生き物が日本にいたことだけでも
子供たちに伝えたいですね。
○
なお、マクスウェルさんが飼っていたのはニホンカワウソ
ではありませんので念のため。