先月の話であるが、喜界島の「がほー」さんから魚が届いた。いつもありがとうございます。
喜界島の海はスズメダイの宝庫である。浅瀬には多数のサンゴがあり、サンゴの森の中ではいろいろなスズメダイに出会うことができる。本州の海でおなじみの青いソラスズメダイには出会うことができないが、このスズメダイが生息している。
スズメダイ科・ルリスズメダイ属のルリスズメダイである。
ルリスズメダイの特徴はなんといってもその青い体色で、その青はソラスズメダイの青とはまた違う色彩である。強烈な南国の太陽光を浴びて輝くルリスズメダイは非常に美しい。
ルリスズメダイ属のスズメダイは喜界島の浅瀬でも何種か見られるが、多くの種は成魚では地味な体色をしているのに対し、本種は成魚と幼魚であまり色彩が変わらない。潮だまりではこれが群れていると感動してしまう。私は3回喜界島を訪れたが、そのときは5月でスズメダイ類の幼魚はあまり見られなかったものの、おそらく繁殖していると思われる。
なおルリスズメダイ属のスズメダイは10種が日本に生息しているが、喜界島の浅瀬では5種が生息している。ネズスズメダイ、イチモンスズメダイ、スジブチスズメダイ、そしてレモンスズメダイである。最も多いのはネズスズメダイで、ほとんどどこにでも見られる。レモンスズメダイは釣ったことはないのだが、磯では多数見られる。
美しいルリスズメダイは観賞魚として人気がある、と思われがちであるが、実際にはそうとは言えない。こういうスズメダイを飼ったことがあるひとはよくわかるかもしれないが、この仲間は非常に気が強く、ほかの魚を殺すことさえある。しかし非常に丈夫な魚である。そのためはじめて海水魚を飼育するのにすすめられることが多い。
雄と雌の区別は尾鰭を見れば容易。雄の成魚は鮮やかな青、雌は透明。雌はかつて「コバルトスズメダイ」という名前でよばれていた。しかし熱帯魚店ではいまでも「コバルトスズメダイ」の名前で呼ばれていることが多い。なお色彩についてはパラオ産のように尾鰭などが鮮やかなオレンジ色をしたものなどの変異が見られる。