魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ルリスズメダイ

2016年10月14日 13時45分29秒 | 魚紹介

先月の話であるが、喜界島の「がほー」さんから魚が届いた。いつもありがとうございます。

喜界島の海はスズメダイの宝庫である。浅瀬には多数のサンゴがあり、サンゴの森の中ではいろいろなスズメダイに出会うことができる。本州の海でおなじみの青いソラスズメダイには出会うことができないが、このスズメダイが生息している。

スズメダイ科・ルリスズメダイ属のルリスズメダイである。

ルリスズメダイの特徴はなんといってもその青い体色で、その青はソラスズメダイの青とはまた違う色彩である。強烈な南国の太陽光を浴びて輝くルリスズメダイは非常に美しい。

ルリスズメダイ属のスズメダイは喜界島の浅瀬でも何種か見られるが、多くの種は成魚では地味な体色をしているのに対し、本種は成魚と幼魚であまり色彩が変わらない。潮だまりではこれが群れていると感動してしまう。私は3回喜界島を訪れたが、そのときは5月でスズメダイ類の幼魚はあまり見られなかったものの、おそらく繁殖していると思われる。

なおルリスズメダイ属のスズメダイは10種が日本に生息しているが、喜界島の浅瀬では5種が生息している。ネズスズメダイ、イチモンスズメダイ、スジブチスズメダイ、そしてレモンスズメダイである。最も多いのはネズスズメダイで、ほとんどどこにでも見られる。レモンスズメダイは釣ったことはないのだが、磯では多数見られる。

美しいルリスズメダイは観賞魚として人気がある、と思われがちであるが、実際にはそうとは言えない。こういうスズメダイを飼ったことがあるひとはよくわかるかもしれないが、この仲間は非常に気が強く、ほかの魚を殺すことさえある。しかし非常に丈夫な魚である。そのためはじめて海水魚を飼育するのにすすめられることが多い。

雄と雌の区別は尾鰭を見れば容易。雄の成魚は鮮やかな青、雌は透明。雌はかつて「コバルトスズメダイ」という名前でよばれていた。しかし熱帯魚店ではいまでも「コバルトスズメダイ」の名前で呼ばれていることが多い。なお色彩についてはパラオ産のように尾鰭などが鮮やかなオレンジ色をしたものなどの変異が見られる。

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コバンアジ

2016年10月13日 22時31分47秒 | 魚紹介

この間の三浦での磯遊び。これについては「コーラルフリークスVol.20」を参照していただくとして。採集した魚の一部をご紹介。スズキ目・アジ科・コバンアジ属のコバンアジ。

写真があまりよくない。今回の磯遊びでは「おさかなカメラマン」の方も同行しており、きれいな写真はコーラルフリークス誌に載るのではないかと思われる。小さいケースの中をずっとお酔い回っていた。なおケースは先日釣具屋で購入したものだが、カメラマンの方も同じケースを使用していました。

これはまだよいほう。マルコバンとの見分け方は、背鰭や臀鰭の軟条数。コバンアジのほうがマルコバンよりも多い。尾鰭にはオレンジ色が出ており、マルコバンと間違えられやすいがこれはコバンアジでも幼少の期間にはあるようだ。成長するとこの橙色の線は黒っぽくなる。なお、コバンアジの体側には黒い点があるのが特徴なのだが、この特徴は10cmくらいにならないと出現しないらしい。

色がちょっとおかしいのだが、コバンアジの若魚。これで10cmほど。小さな斑点が二つあるのが特徴。この個体は宮崎市内の浜辺で投げ釣りをして釣れたもの。色調は若干弄ってるものの、尾鰭のほうはまだオレンジ色に近い色。

こちらは鹿児島県の伊東正英さんに送っていただいた個体。2009年に同県笠沙で漁獲された体長19.1cmの個体。成魚に近いサイズ。このころは尾鰭の線は黒くなっている。分布域はインド‐太平洋の広域(紅海からラパ島)。ハワイ諸島には分布していない。日本では太平洋岸では相模湾、日本海岸では佐渡以南から記録がある。コバンアジは基本的には南方の魚なのだが、幼魚は関東の海にもこの時期にだけ出現する。基本的には幼魚~若魚で、波打ち際からの投げ釣りで釣れることがある。そのような魚は本種のほかにもナンヨウカイワリやクロヒラアジなどがいる。またツバメコノシロの幼魚も同じ感じで出現するのだが、今回はこれらの魚は見られなかった。

ほんとうの波打ち際、水深10mほどの場所で採集できるのだが、すばしこくなかなか網に入らない。成魚もサンゴ礁の浅瀬を本種が数匹でうろうろしているのはよく見かける。ほかのアジと比べると結構スレにつよいのか、バケツに投げ込みろ過器を放りこんだような状態でも元気。飼育も簡単と思われるが大きいのでは50cmくらいになるといわれ、成魚まできちんと飼育できるか考えなければならない。今回はリリース。

なお本種は食用魚でもある。刺身、塩焼き、揚げ物などで美味しい。

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久しぶりのアイゴ

2016年10月11日 23時18分20秒 | 魚紹介

久しぶりに出会う魚。

アイゴ科・アイゴ属のアイゴ。2013年に尾鷲の定置網漁業で漁獲されて以来3年ぶりのご対面。釣りでは2007年以来のごたいめーん。

このアイゴは三浦半島では最近多いみたい。温暖化とは言えないだろうが、潜っていても大きな個体が数多く見られ、海藻を食べるため地域によっては「磯焼け」の原因、と名指しされていることもあるようだ。この個体も30cm近くあったが、お隣で釣りをしていた家族の方がもっと大きいのを釣って、タモを用意されていた。その人はアイゴ、とよんでいて、九州であれほど聞いていた「バリ」という単語は全く通じなかった。

磯遊びのほうは天候がよくなく浅瀬は冷たい。また、南方の魚は少なかった。しかしフウライチョウチョウウオの小さいのや、ご一緒していただいた家族の方がタツノオトシゴを採集するのを見られて幸せであった。ほかにもアナハゼ、アミメハギ、イソカサゴ、イソスズメダイ、イソハゼ、オヤビッチャ、カワハギ、クサフグ、コバンヒメジ、チョウチョウウオ、ナベカ、ニシキベラ、ニセカンランハギ、ハオコゼ、ヘビギンポ、ホウライヒメジ、マタナゴ、メジナなどいろいろな魚が見られて満足だった。

次は11月に行けたらいいな。

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朝のサンゴ

2016年10月09日 14時54分42秒 | 魚介類飼育(海水)

結局例の磯遊びは10日に延期になりました。で、朝早くに目が覚めて水槽をいつものように覗き込む。緑色でマウスの部分がオレンジ色をした、鮮やかなキッカサンゴの仲間。キッカサンゴは初めて飼育する種類だが、同じウミバラ科のハードコーラルであるウミバラは長く飼育できていた。ウミバラはアザミハナガタサンゴと接触して溶かされてしまったので、他のサンゴとあまり接触しないような場所に置いている。母親のお気に入りのサンゴである。

朝起きるとマウスの部分が肥大化していて触手も出していたりする。腹が減っているのだろうか。餌を与えるときはうまくマウスまで運んでやらなければならない。この水槽には食い意地のはったテンジクダイの仲間やカクレクマノミがいるのだ。


この触手に餌をひとつひとつスポイトを使って与える。餌はとくにサンゴ専用飼料というわけではなく、メガバイトレッドを細かく指でつぶし、海水に浸して与える。またサンゴの状態によっては添加剤も使うことがある。

こちらは昼間に撮影したキッカサンゴ。ちょっと縁辺が剥げているがこれはイソギンチャクに触れてしまったからかもしれない。コーラルフィッシュ誌の別冊によれば「攻撃力が強いので他のサンゴを横に置かない」ように書いているが、ウミバラやアザミハナガタサンゴ(スコリミアの仲間)にやられてしまっている。毒性が強いのか弱いのかよくわからない。しかし初心者向けの、きわめて飼育しやすいハードコーラルである。購入はいつもの「コーラルタウン」さん。セール中で安価だったのと、同行した母親氏のこころを掴んで離さないような感じがしたからである。


こちらは8月に購入したウミアザミの仲間。コーラルフィッシュ誌や同誌の別冊では「難しいサンゴ」とされているが、硝酸塩さえ低めに抑えることができれば、またヨウ素やほか微量元素を少量でもよいから毎日投与できればそんなに飼育が難しいサンゴではないと思われる。このほか昨年に購入したシロスジウミアザミも健在。右はウミキノコ。これらのサンゴも同じくコーラルタウンさんで購入した。初めて訪問した時はミドリイシやらハナサンゴの仲間に強いように思われたが、かなりソフトコーラルにも強い店舗といえそう。

魚は前回から追加して入れたものはない。カクレクマノミ、シールズカーディナルフィッシュ、イエローラインドカーディナルフィッシュ、ヤミテンジクダイ、スミゾメハナハゼ、アケボノハゼ、ハチマキダテハゼ、ジュウモンジサラサハゼ、イレズミハゼ、クモギンポ、ロウソクギンポ、そしてヒフキアイゴがすむ。カクレクマノミは我が家に来てもう6年がたつ。これにホンソメワケベラと小型のカエルウオを入れたいところだ。

今日は悲しいニュースもあった。水槽で飼育していたタイワンドジョウ科の「コウタイ」さんが水槽からジャンプしてお亡くなりになってしまいました。しっかり蓋をしめていたはずなのですが、ジャンプして蓋を開けてしまったようです。悲しい。

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エビスシイラ

2016年10月07日 15時22分17秒 | 魚紹介

3日からぶろぐを更新していなかった。

8月に鹿児島県南さつま市の伊東正英さんから「エビスシイラ」という珍しい魚をいただいた。Facebookでは記事にしていたのだが、ぶろぐで記事にするのを忘れてしまっていた。

エビスシイラはその名の通り、スズキ目シイラ科シイラ属の魚である。シイラ科の魚は世界でシイラとこのエビスシイラの2種のみが有効とされている。エビスシイラも、シイラも、太平洋、大西洋、インド洋の暖かい海に生息している。シイラはオホーツク海~琉球列島にまで広く分布し、エビスシイラは日本周辺ではロシアのピーター大帝湾、兵庫県、島根県、高知県、鹿児島県、沖縄県渡嘉敷などから知られているが、数はシイラのほうがずっと多いようだ。私もエビスシイラの現物を見たり、触ったりしたのは今回が初めてなのである。

エビスシイラとシイラの違いは体の形だ。シイラは体の背縁と腹縁が直線状で体が細く見えるのだが、エビスシイラでは背縁と腹縁が丸みを帯びていて体が短いように見える。またエビスシイラの体高は腹鰭の後端付近で最大となるが、腹鰭の前方付近で最大になるシイラとこの点でも区別できる。

そのほかに背鰭軟条数にも違いがあるが、シイラは55~67軟条、一方のエビスシイラは48~59軟条で、数値が重なることもあり確実な同定ポイントとはしにくいと思われる。そのため(たがいによく似ている)幼魚を見てシイラとエビスシイラを見分けるのは困難かもしれない。

シイラは大きいものでは2mにもなるが、エビスシイラも全長1mをこえることがあるよう。ただし普通は75cmくらいまでのようだ。生きているときはエビスシイラも鮮やか緑色と金色に輝くらしいが、残念ながら死後時間がたつにつれて灰色っぽくなっていくところはシイラと同様のようだ。

シイラ科の魚は優れたゲームフィッシュであり、同時に食用魚として重要な魚である。日本では、シイラは食用としてはあまりメジャーにはならないが、アジ科に近い位置にあるともいわれるため、地域によっては好まれる。私も以前宇和海で漁獲されたシイラをよく食べていた。刺身、焼き物など美味な魚で卵の煮つけも美味しい。

 

今回は洋風の焼き物や刺身にして食べてみたが大変美味なものであった。伊東正英さん、いつもありがとうございます。

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