魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

イトウオニヒラアジ

2022年08月06日 14時53分35秒 | 魚紹介

先月鹿児島から素晴らしい魚がやってきた。スズキ目・アジ科・ギンガメアジ属のイトウオニヒラアジである。

ギンガメアジ属は日本からは10数種知られ、日本にはギンガメアジ、ミナミギンガメアジ、カスミアジ、オニヒラアジ、ロウニンアジ、カッポレの6種が知られていたが、その後新たに日本産として報告されたニューフェイスである。日本では鹿児島県周辺で幼魚~若魚サイズのものがそれなりに見られたが、今回は全長70cmを超える、成魚に近いサイズの個体である。標準和名は鹿児島の漁師さん、伊東正英さんにちなむようだ。なお、学名について、昔はCaranx semという名前がよくつかわれていたのだが、この学名はCaranx heberiの異名となっている。

イトウオニヒラアジの特徴は、頭部、鰓蓋の上部に銀色の模様がないこと。この特徴でオニヒラアジと見分けることができる。カスミアジにも似ているが、カスミアジの体側に青黒い斑点が多数あるのに対し、本種の体側には目立った斑紋がない。ロウニンアジにも似ているが、このくらい大きい個体(全長70cmほど)だと、頭部の形状が大きく異なるので見分けられる。

尾鰭の色彩は下葉が黄色、上方が暗色である。ただし、変異が大きく少なくとも日本産では明瞭に尾鰭上葉が黒いのはむしろ稀だという。この個体もそのような色彩にはなっていない。この個体は尾鰭上葉全体が灰色っぽい。

分布域は広く、東アフリカ~フィジーまでのインド—太平洋域に及ぶ。日本の周辺では台湾や中国に生息し、わが国では遇発的に出現するものとされていたが、このくらい大きいものが漁獲されたらもしかしたら日本近海でも産卵する可能性があるといえそうである。わが国では鹿児島周辺に分布しているが、写真だけの記録ではあるが長崎魚市場でも水揚げされている。ただその長崎の個体がどこで漁獲したかは不明である。鹿児島で漁獲された可能性もありそうだ。この個体は本種がよく水揚げされる鹿児島で漁獲されたものだが、どこだろう。直前に笠沙で本種と思われる大型個体が何個体か入網しており、これも笠沙で獲れたのかもしれない。

今回のイトウオニヒラアジはお刺身でいただいた。皮目の色はあまりよくないが、身はかなり脂がのり美味しい。今回のイトウオニヒラアジの入手により、あとまだ入手していない日本産ギンガメアジ属魚類はオニヒラアジとカッポレの2種となった。これらもいつかこのぶろぐで紹介したいところである。今回のイトウオニヒラアジは鹿児島市の田中 積さん(田中水産)から。いつもありがとうございます。


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