魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ミナミイケカツオ

2018年03月04日 10時11分50秒 | 魚紹介

前回、このぶろぐでノトイスズミについての記事を書いた。ノトイスズミの写真が入っている、定置網の魚のフォルダには定置網で漁獲された懐かしい魚の写真が色々と出てきたのであった。残念ながらこの定置網は廃業されたらしく、もう魚は手に入らない。これまでのご支援に感謝したい。このミナミイケカツオもその定置網で漁獲されたものである。

名前に「カツオ」とあるが、アジの仲間である。アジ科イケカツオ属。確かにほかのアジとは異なり稜鱗はなく、口が大きいのでサバ科の魚のようにも見える。南方系の魚で分布域は南東アフリカ~ハワイ諸島にかけてのインドー太平洋域。日本においては佐渡島以南の日本海岸と、関東地方以南の太平洋岸で、もちろん琉球列島にも分布している。本州沿岸では幼魚が多いが、愛媛ではたまに大きめの若魚サイズも出るようだ。成魚は全長50cmに達する。

イケカツオ属の魚の特徴は背鰭にある。背鰭の棘には鰭膜がなく、ひとつひとつが独立している。ちなみにこの背鰭の棘には毒がある可能性もあるという。そのためなるべく触らないように注意したい。

なお、先ほども述べたように、アジの仲間であるが稜鱗はない。本種は口がやや小さく、体側の斑紋が一列に並ぶことにより、ほかのイケカツオ属魚類と見分けられる。

ミナミイケカツオの口は瞳孔の後縁直下までにしか達しないことと、体側の斑紋が一列しかないことにより、口が眼の後縁下にまで達し、体側の斑紋が2列のイケカツオと区別できるとされている。しかし稚魚はどうだろう。この口の特徴は体長20cmを超えるサイズの個体でなければ同定形質としては使うことができないようだ。

本種を含むイケカツオ属の魚は世界に4種が分布し、わが国にはそのうち3種が知られている。近縁の属には南西大西洋に固有で1属1種のスジイケガツオや、北米~南米の両沿岸に生息するオオクチアジ属が知られている。これらは新大陸周辺の産であり、インドー中央太平洋ではイケカツオ属のみが見られる。この3属でScomberoidinaeというひとつの亜科(およそ10種)を形成するが、同じく稜鱗と第1背鰭棘の鰭膜のないコバンアジ科と近縁かもしれない。

イケカツオの仲間はゲームフィッシュとしてよく知られている。とくに「クイーンフィッシュ」の英名で知られるオオクチイケカツオは全長1m近くになり、ルアー釣りの対象魚として有名である。味も良いらしいので食べてみたい魚たちである。

コメント
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