魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

謎のトウジン属

2013年01月23日 21時09分35秒 | 魚紹介

 

本日のお題、それは「(・ω<) てへぺろ」とは何か。
 
ではありません。ホシゴンベをオキゴンベと打ってしまい、ややショック気味の本日、(・ω<) てへぺろの一言でごまかしたいものなのですが、本日のネタはタラ目ソコダラ科・トウジン属の魚の謎の種類です。

トウジン属の魚はほとんど世界中の深海に生息するグループです。静岡県沼津方面では「げほう」の名前でもおなじみのグループです。日本からは22種類が報告されていますが、テナガダラ属のテナガダラを本種に入れるべきという見解が強いようです。世界からは別の属に入れる見解もあるテナガダラやマタムアソコダラなども含め120種以上が知られる大きな分類群です。そしてこれらは同定が難しい・・・。同定で重要なのは、体側の模様や鱗の様子、吻の様子、そして腹面の発光器の様子などです。


 
●体側の模様
先ほどの写真と同じような・・・。はい、同じ画像です(汗 まず体側の模様が特徴的なのは、ヤリヒゲ、モヨウヒゲ、マトウヒゲで、これらの種は其々暗色の斑紋、細長い暗色斑がありその下に暗色帯がある、胸鰭上方に暗色斑があることで区別されます。
 
他に特徴的な模様を持つのは、体側に鞍状斑をもつズナガソコダラ、ムスジソコダラ、ミヤコヒゲの3種です。ズナガソコダラやムスジソコダラは九州パラオ海嶺に分布しなかなか出会えません。ミヤコヒゲは相模湾以南の南日本に生息し、水深360~755mから釣りなどで漁獲されます。
 
 
 
●吻の形状 側面
吻の先端の部分の様子は、本種の同定についてはとても重要な部分です。吻の前方には無鱗域があるのですが、それが広いものと狭いものがあります。この個体はとても惜しいことに、その吻の部分の様子が不明となってしまっています。
 
吻の長さも重要です。ムグラヒゲやキュウシュウヒゲなどのように吻が短いものや、テングヒゲなどのようなとても長く伸びるものまであります。
 
吻の背面が特徴的なのはツマリヒゲで、この種は吻がやや伸びるのですが、背面からみると幅広く吻端がやや鈍い形状をしています。こういうものもありますので、吻は上からも撮影するのが望ましいでしょう。
 
 
●頭部の形状 腹面
 
頭部の腹面で見るべきなのは鱗や小皮弁の有無です。イチモンジヒゲは頭部腹面に小さな皮弁をたくさん有しています。この個体ではあまり明瞭な鱗があるようには見えません。トウジンやオニヒゲなど、頭部下面はほとんど鱗がないものもいれば、ソロイヒゲ、ハナレヒゲ、キシュウヒゲなどのように鱗に覆われた種類もあります。
 
下顎に見える白くて細長いのはひげです。タラの仲間は1つのひげを持つものが多いのですが、カワリヒゲダラの仲間やバケダラの仲間のようにひげを持たないのもいます。日本産ソコダラの仲間ではアナダラ属のものではひげがないか、あるものでもわずかにある程度です。
 
●発光器とその周辺の様子
 
腹にある真っ黒な部分が発光器です。発光器も種類によって大きく形状がことなります。この個体では発光器は肛門周辺にのみあり、その先端がわずかにのびる感じです。そして、肛門は臀鰭基部の直前にあります。このような特徴からムグラヒゲやキュウシュウヒゲとは除外されます。これらの2種は発光器が長く伸び、臀鰭基部と肛門の間は少しはなれています。
 
今回はいろいろと撮影しましたが、これでも同定は困難なのがトウジン属の魚です。現在は体側の鱗にある、小さな棘の様子を顕微鏡で撮影することも重要なようです。一部の分かりやすい種類を除いて、同定は困難なのです、博物館などに標本を寄贈し、同定をお願いするのが一番よいかもしれません。今回の個体も、そうするつもりです。
 
コメント
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