2021/9/11放送送
世の光の時間です。いかがお過ごしですか? 板倉邦雄です。今日は「忍耐は、運命を左右する」という題でお話ししましょう。
囚人パウロたちを乗せたイタリア行きの船はクレタ島の「良き港」に到着しました。その港で長い時が経過し、航海が危険な季節になってまいりました。暴風雨が多い季節に入り、航海には一番危険な時でした。パウロは三回にわたる伝道旅行でこの海域を何回も行き来したことがあります。コリント人への第二の手紙の中で、「難船したことが三度あり、一昼夜、海上を漂流したこともあります」と書いてあります。ですから、パウロは人々に警告しました。「皆さん、私の見るところでは、この航海では積荷や船体ばかりではなく、私たちのいのちにも危害と大きな損失が及ぶでしょう。」
しかしローマの百人隊長は、パウロの意見よりも船長や船主のほうを信頼しました。当然です。囚人パウロの意見よりは、航海のプロである経験豊かな船長や船主の意見の方を信頼するでしょう。それに百人隊長は、囚人たちを一日も早くイタリアのローマに連行しなくてはなりませんでしたし、さらにこの「良き港」は冬を過ごすのには適していなかったのです。大多数の人々は、「良き港」から北西80キロにあるフェニクスの港に行って、そこで冬を過ごしたいと主張したからでした。
時に南風が静かに吹いてきました。人々はこの時とばかりに碇を上げてクレタ島の岸に沿って航行しました。しかしこの後、一行は大嵐に遭遇することになります。忍耐は私たちの運命を左右することになるのです。
私たちは忍耐して待つことができないようですね。不便や不快なことに耐えられないようです。自分たちのやりたいこと、願っていることのためには、危険を承知でも突き進むのです。この世界は私たちのために回っているのではありません。この世界は、神が創造し、神が支配し、処理し、導いている世界です。私たちはこの神の造られた世界の営みの中に生かされ、動き、存在している者であることを忘れてはなりません。
(PBA制作「世の光」2021.9.11放送でのお話より )
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