お祭りになると、日頃は静かな諏訪公園もズラリと露店が並び、多くの人で賑わっていました。
昭和27年 陶器製の大入道を求める人 山川菊生氏提供 四日市の今昔より
わた菓子はあちこちに出ており、一番大きいのを探して回りました。公園の南入り口にはういろうの店があって湯気を立てています。その西、猿の檻の横には、拡大器の実演があり、プロマイドを横に置いて写真の線をなぞると役者や歌手の顔が描けます。上には古い紙で完成品がかけられていますが、買って帰るとうまく描くことができませんでした。地球ゴマは、いくつも積み上げて回していました。スマートボールやパチンコの台も並んでいます。
諏訪新道の三井銀行の横では、船の材料を売っていました。セルロイドで出来た小さな船にリュウノウを挟み込むと、水を蹴ってくるくると進みます。その他 ハッカパイプ、カルメ焼き、ゴム鉄砲、一輪車、輪投げ、射的、おもちゃのくじ等、お小遣いをポケットの中に握りしめて1日中見て回りました。
昭和30年 雨の四日市祭り 境内で舞う南浜田の練り獅子 中西秀男氏提供 四日市の今昔より
神社の境内では香具師が口上を言っています。袋の中には二つ頭の蛇が入っていて、結局最後まで見ることなく、軟膏や万年筆を売っていました。
新田町の通りでは、“どっこいしょ”という街頭賭博をやっていて、セルロイドが入った餅花を数個の中から当てるというものです。近所だったので長い間眺めていましたが、同じおじさんがお客さんで居たので、仲間の人と思いました。
また、小さい碁盤の板にコインを置き、おちょこで伏せて振ると、そのコインが消えるという手品もありました。これならたくさん貯金ができると思って、買って帰りましたが、板の一部が回転して、隙間にコインが入り込むというものでした。手品の実演は面白かったのですが、種を仕入れて帰ると、そのほとんどが失望させられるものでした。
香具師の口上は、面白くて半日位眺めていました。