花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

“寅次郎はつらいよ”

2012年10月14日 | 諏訪商店街振興組合のこと
「男はつらいよ」の“つらい”とは、いったい何がつらいのだろうか?
     
寅次郎がつらいよ、と嘆いたのは、自分が女性との恋愛を成就できない、自分が人間として一人前になれない、自分がカタギの生活を続けることができない、という非成就感、非達成感に由来すると考えることができる。
では「寅次郎はつらいよ」とせずに「男はつらいよ」としたのはなぜか?
それが時代の不特定多数の男性の共有する“つらさ”だったからではないか。
高度成長期にあって、平和で階級制度もなく「自分のやりたい夢に向かって突き進んでもいいよ」と言われているにもかかわらず、実際には世間の常識に縛られて、分相応なところで我慢して会社や家庭のために尽くしていく、そんな男たちに重なる部分があると捉えられたのではないだろうか。

     
観ていて気分爽快になるヒーローものの作品の多くは、正義のために火の中水の中へ飛び込んで成功する、しかし、人々は、物事がそんなにうまくいくとは思ってないし、その前に、寅次郎と同じように、踏み切れない、踏み出せないことのほうが実際には多い。その甘さを寅次郎の人間味に感じるのだろう。
第1作が始まったころ、金の卵と言われて上京してきた多くの就労者たちも、同様に焦っていた。失望感を抱いている人も多かったのではないだろうか。
だから時代のアウトローではなく、帰る場所、故郷がある現代劇でなければならなかったのだろう。

 
(濱口惠俊・金児暁嗣著 智泉書院 寅さんと日本人より)
男はつらいんだよ。正しいと思ってやったことが、自分の至らなさでかえって周りの人とギクシャクしたりもするけれど、自分なりに懸命に生きているんだよ。そんな真摯な生きざまに、観客は笑い、涙するのだろう。
嘗て、若き武田鉄矢に山田洋次監督が叱ったエピソードがあります。
「人を笑わそうと演技をすれば、それは作り物となる。人は作中の人物が一生懸命になっているのを見て笑うのだ」と・・・
     
10月26日金曜日、午後6時30分上映の記念的第1作「男はつらいよ」
お楽しみください。

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