走る！

前から気になっていたこと。江戸時代、人は走らなかった。
走る行為をするのは、飛脚や駕籠かきぐらいで、特殊な技術を要すると考えられていたらしい。え？ほんと？わが耳目を疑った。映画や舞台などで子供たちは走り回っている。町火消しも走っている。そういえば忠臣蔵で吉良邸に向かう浪士たちもそうだ。スリを見つけたときは走って追いかけたはずだ。
武士が急ぐときは、手をまげて前にあて、すり足で早歩きをするシーンをよく見る。武家社会では日常、走るものではないと教えられていたのだろうか。戦国時代は無論全速力で走っていたはずだ。江戸時代、太平の世になって走らなくなったのか。
現代でも町中で走っている人を見かけると、いったい何事かと皆が見る。江戸の町でも農村でも、何か事件が起こらないかぎり走る必要がなかった。
徒歩競争なんて寺子屋では教えてなかった。街道筋でも歩いて旅をした。走ったらたちまち息切れがして旅は続けられなかっただろう。基本は徒歩、または馬か籠。火急の場合のみ走ったのだろう。だから、歩いている後ろから早籠や馬が来るとあわてて道をよけた。
今はスピード時代。新幹線で何時間と言われ、時を争う時代になった。秒単位で用を済ませてくることが自慢されるようになってしまった。時間の代償としてエネルギーを浪費しているのだ。もう少しゆっくりしてもいいのではないだろうか。
といってもオイラだって、今日は何時からあれをして何時にこれをしてと、詰まるところ時間に追われている。足で走らない代わりに車や列車で走っている。もう少しのんびり構えれば、月日の経つのが遅く感じられるようになるのかもしれない。
表参道スワマエはゆっくりと歩いてください。ここは旧東街道です。馬は走っていませんが。そういえばオイラの小さい頃は、農耕馬の糞が通りの真ん中に落ちていて、取り除いていたことを思い出します。
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