このところ死刑執行が相次いでいる。
今日の中日新聞に瀬戸内寂聴さんが、死刑反対のお話を載せられていた。
4月、山口県の母子殺害事件での死刑判決の報道を見た。
妻と子を殺された夫にとって、極刑を望むのは当然と考えテレビを観ていた。
しかし「夫は、犯人が死刑となり、ああせいせいしたと思うでしょうか?」と寂聴さんは語る。「心は今までも揺れ、これからも揺れると思います」
「死刑も殺人にほかならず、殺人の連鎖でもある。それよりなぜ起きたかを考えないと。極刑を、永久に罪を償う終身刑にしてほしい」
ニューヨークで起きた2001年の同時多発テロのとき、長男を亡くした初老夫婦に、「おつらいでしょう。犯人も死んでしまって、敵も討てませんね」と寂聴さんが声をかけると、夫は顔を上げきっぱりと言った。
「こんな無駄な殺し合いは二度とやってほしくない。相手を報復で殺すのは嫌だ」
最近特に、凶器の刃物が街を駆け巡る。自分たちは被害者であり、決して加害者ではない。そんな気持ちでテレビを観ている。しかし「人間は非常に危うい存在です。絶対に自分が加害者にならない保障はない」と語る。
「人間一番大事なのは優しいということ。子どもには偉くなれ、金持ちになれと言わず、優しい人に、他者の苦しみを想像できる人になれ、と育ててください。男も女も優しけりゃいいんです」
「優しい人っていうのは、想像力がある人。他者の苦しみが想像できる人。相手の気持ちを想像できなければ、優しくはできない」
「だから、優しい人にするためにまず想像力を養うべきです。それには本を読ませなさい」