花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

江戸吉原図集より その4

2007年09月09日 | わたくしごと、つまり個人的なこと
三谷一馬著「江戸吉原図聚」中公文庫より
大門をくぐった仲の町両脇には、総二階の引き手茶屋が並びます。
大見世の花魁を呼ぶときはここで交渉するのですが、中見世や小見世は直づけ(じきづけ)や素あがり(すあがり)といって直接格子から遊女を覗いて物色できました。
気に入った遊女がいますと二階の引付け座敷に上がり、見世の若い者(二階廻し)にこれこれの顔立ちの人と説明をします。
若い者が承知して階下へ降りていきますと、入れ替わりに禿(かむろ)と呼ばれる女の子がお茶とお菓子を運んできます。
再び若い者が杯台と銚子、硯蓋を持参し、そしていよいよ遊女の登場です。
若い者が「ヘイ、あなた様」「こなた様」と呼んで、ずーっと離れたところで杯を交わす「引きつけの式」を行ないます。このときお酒を飲んではいけません。形だけの儀式です。
儀式が終わると、若い者の「お召し替え!」の声と共に遊女は席をはずします。
やがて注文の料理(台の物)が並び、お酒が入って賑やかになってまいります。
ふたたび遊女が常着に着替えて登場しますが、料理に手をつけることもなく、口も利いてはくれません。
ようやく若い者の「あちらへ」の声がかかると、遊女の部屋へ案内されるのです。こうして「床が納まる」ということになるのです。
これが初会。二度目が「裏を返す」三度目が「馴染み」と遊女も口を利いてくれて、二人の仲は親密になってまいります。
その分、祝儀もかかるというものです。
お金のかかる、面倒な世界でありました。
ま、そこまでの恋愛ゲームを楽しんだのでしょう。
高級花魁になるとスターなみでした。巨額のお金が動き、江戸っ子の憧れの的です。
ひとつの文化が生まれたのもうなずけます。