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名作と言われるも古臭さあり、ただしうち二曲は郷愁あふれる名曲

2013-10-23 09:10:04 | 音盤ノート
Milton Nascimento "Minas" EMI Brasil, 1975.

  MPB。ブラジルのシンガー・ソングライター、ミルトン・ナシメントの代表作。このアルバムのタイトルからミナス・ジェライス州出身だと勝手に思っていたが、育ちがそうであるだけで、彼の生まれはリオらしい。

  子どもの合唱を導きの糸に展開するコンセプトアルバムで、サイケデリック・ロックの趣きがある。実際、ビートルズ‘ノルウェーの森’のカバー曲が収録されている。とはいえ、ロック的なビートが活躍する楽曲は今時の耳には古臭く感じられてしまう。フェンダーローズの響きは美しいが、エレクトリックギターの音はちょっと辛いというレベルだ。ただし、そういう曲がいまひとつなのは御大が普通に歌っているせいかもしれない。

  一方、御大がファルセットを駆使しながらヴォカリーズとスキャットをごちゃまぜにしたような歌唱を取る数曲のスローな曲はとんでもなく素晴らしい。冒頭のタイトル曲やtrack 6‘砂の岬(Ponta de Areia)’は、天に向って祈るような崇高なボーカルが聴き手の郷愁感をかきたてる超絶神名曲である。これらの他、ジャズバラード風のToninho Horta作‘ブロークン・キッス(Beijo Partido)’、"Clube Da Esquina"的サウンドのCaetano Velosoとの共作‘パウラとベベート(Paula e Bebeto)’なども良い。

  個人的には、"Clube Da Esquina"(参考)のような薄いリズム隊によるフォークロック的な編成の方が好みである。けれども、先に挙げた二曲の美しさでこのアルバムは救われる。今のところ、全曲youtubeで試聴できる模様。
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