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タイプが違いすぎる演奏家の組合せによる化学実験のような録音

2013-09-30 19:57:59 | 音盤ノート
George Adams "Sound Suggestions" ECM, 1979.

  ジャズ。ジョージ・アダムス(tenor sax)は、晩年のチャールズ・ミンガス組のメンバーで、ストレートなソロを吹いたと思ったら突如「うなぎが這いまわるような音」をおり混ぜたりする演奏家である。フリージャズを通過した熱き正統派黒人ジャズであって、ECMと縁があるようなタイプとは思えない。だが、これはどういう理由でかわからないがそのECMで録音されてしまった珍作である。

  サイドメンのうち、Jack DeJohnette (dr), Dave Holland (bs)は豪華でよろしい。しかし、ピアノは相棒のDon Pullenではなく叙情派のRichie Beirach、トランペットに哀愁系のKenny Wheelerと、ソリが合わなそうなメンツと組合わされている。メンバーは以上で十分なのに、さらにHeinz Sauerなるドイツ人テナーサックス奏者が参加しており、無駄に人数の多い六重奏編成になっている。

  その演奏だが、いつものような整理された透明感のあるECMサウンドが聴ける。けれども、アダムスもその中で豪放に暴れまわっており、微塵も彼らしさを失っていない。4曲目ではソウルフルなボーカルまで聴かせて、アダムス節をこれでもかと炸裂させている。しかし、彼が退場したとたんに演奏はいつものECMサウンドに戻ってしまう。その取り合わせがとても奇妙だ。「プリンに醤油をかけたらウニの味がする」みたいなものか。
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