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電子書籍前夜の米国出版産業について数値データで伝える

2025-01-10 10:38:49 | 読書ノート
Albert N. Greco The Book Publishing Industry, 2nd Ed. Lawrence Erlbaum Associates, 2005.

  米国出版産業の概説書で、第二版は電子書籍前夜(というかKindle前夜)までの動向を多くの数値データを用いて伝えている。2013年に第三版が発行されているのに気付かず、不覚にも第二版を入手して読んでしまった。著者は米国の経営学者である。

  主に商業出版を扱っているが、学術出版や教科書についても触れられている。米国の出版・流通プロセスについて簡単に説明した後、代表的な出版社、業務、編集プロセス、出版社によるコンテンツの獲得、マーケティング、消費の動向、表現の自由と著作権、将来について説明するという章構成になっている。1990年代から2000年代半ばにかけて、紙の本の売上は伸びているが、読者は高齢層に偏っており今後の減少が見込まれる。返品が増加してきている。Barnes & NobleやBorders(この版の時点ではつぶれていない)のような超大型チェーンが栄える一方で、独立系書店は苦境に立たされている。このほか、日本人にはよくわからないブッククラブの経営および運営や、新刊をどう宣伝するのか、などの情報がある。出版に占める図書館購入のシェアは8%ぐらいで微減しつつあるとのこと。

  以上。トピックはThompsonのMerchants of Cultureと重なるが、あちらで数字が示されていなかったところを補ったという印象である。というか、このGreco著の方が先に出版されているわけで、Thompson著はこれに出版のメカニズムというかロジックについての説明を補完したというのが正しい理解だろう。

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