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わかりやすいも食い足りない。マーケティング対象に難あり

2011-11-30 08:30:13 | 読書ノート
蓼沼宏一『幸せのための経済学:効率と衡平の考え方』岩波ジュニア新書, 岩波書店, 2011.

  厚生経済学の新しい理論を扱った内容。噛み砕いた説明ではあるものの、扱われている問題が高度すぎる。正義にかなう分配方法を考えるようになるには、分配・再分配に関するこれまでの説をある程度理解していないと難しいだろう。ジュニア新書が対象としている中高生層がそのレベルにあるとはとても思えない。

  内容は、パレート最適の批判・修正してより平等をもたらす分配の論理を構築し、そのために効用の評価に価値序列を導入するものである。アマルティア・センやロールズらの議論が整理されておりわかりやすいのだが、その含意や政策的インプリケーションが一切なくて物足りない。この内容だったら、一般人向けに稿を費やして説明してくれたほうが良かったと思う。
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