Steve Tibbetts "Steve Tibbetts", 1977.
米国人宅録ギタリスト、スティーヴ・ティベッツのデビュー作。このブログでは以前、彼の7作目にあたる"The Fall of Us All"に言及したことがある。本作は自主製作盤で、オリジナルLPの流通量はかなり希少。1995年になってCD版がCuneiform Recordsから発行され、ようやくマニア以外も耳にすることができるようになった。
ECMでの彼の諸作品と比べると、このデビュー作はかなり趣向が異なる。清廉なアコギの音はその後を感じさせるものの、全体的にシンセサイザーが激しく唸っており、これは次作以降では見られない要素である。テープ操作は後の作品でも地味に使われているが、本作では速度変更などかなり目立つ処理のされ方をしている。一方、後の引出しの一つとなっている、激しく打ち鳴らされるタブラと歪んだエレクトリックギターは登場しない(正確に言うと、爆走エレキギターは最後の曲のみに登場するのだがこれがジミヘン丸出しで全然彼らしくない)。全体としてアコギとシンセ音とテープ処理による実験的瞑想音楽という印象である。
まあジャンル不明の変な作品だ。宅録オタクの妄想爆発といった趣である。たぶん本人は1960年代後半のロックが好きで、当時のインドブームへの憧れから仏教に帰依してチベットを名乗ってみたのだろうけれど、1954年生まれて世代的にヒッピーになるには遅すぎたという感じだろうか。こうした10年遅れの時代錯誤な好みが、まったく時代とは無縁の孤高の音楽を生み出した面白い例だろう。
米国人宅録ギタリスト、スティーヴ・ティベッツのデビュー作。このブログでは以前、彼の7作目にあたる"The Fall of Us All"に言及したことがある。本作は自主製作盤で、オリジナルLPの流通量はかなり希少。1995年になってCD版がCuneiform Recordsから発行され、ようやくマニア以外も耳にすることができるようになった。
ECMでの彼の諸作品と比べると、このデビュー作はかなり趣向が異なる。清廉なアコギの音はその後を感じさせるものの、全体的にシンセサイザーが激しく唸っており、これは次作以降では見られない要素である。テープ操作は後の作品でも地味に使われているが、本作では速度変更などかなり目立つ処理のされ方をしている。一方、後の引出しの一つとなっている、激しく打ち鳴らされるタブラと歪んだエレクトリックギターは登場しない(正確に言うと、爆走エレキギターは最後の曲のみに登場するのだがこれがジミヘン丸出しで全然彼らしくない)。全体としてアコギとシンセ音とテープ処理による実験的瞑想音楽という印象である。
まあジャンル不明の変な作品だ。宅録オタクの妄想爆発といった趣である。たぶん本人は1960年代後半のロックが好きで、当時のインドブームへの憧れから仏教に帰依してチベットを名乗ってみたのだろうけれど、1954年生まれて世代的にヒッピーになるには遅すぎたという感じだろうか。こうした10年遅れの時代錯誤な好みが、まったく時代とは無縁の孤高の音楽を生み出した面白い例だろう。