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参加メンツから想像される音よりはずっとソフト

2016-03-16 22:10:07 | 音盤ノート
Marisa Monte "Mais" EMI, 1991.

   MPB。マリーザ・モンチは、前回のカエターノ・ヴェローゾと同様、1990年前後のワールド・ミュージック時代を代表するブラジル人スター。ロンドン五輪の閉会式にも登場していた。本作は彼女の二作目で、米国ではデビュー作となる。日本盤も発行された。

  今となっては大して意味もないことだが、若いころの僕は参加ミュージシャンの情報を理由にこのアルバムを手にした。Arto Lindsayプロデュース、元Lounge LizardsのDougie BowneとMarc Ribot、John Zornと坂本龍一が数曲で参加という具合である。このほか、P-Funk系の鍵盤奏者であるBernie Worrell、ロフトジャズ出身のMelvin Gibbs、Pat Metheny Groupに短期間在籍したArmando Marcal、今月亡くなってしまった(合掌)Nana Vasconcelosもまた参加している。

  参加メンバーを元に想像するならば、Gang of Fourのようなポストパンクまたはジャズファンクにブラジル風味が添加された音を思い浮かべる。だが実際は、ポルトガル語で歌われる、抑制の効いた少々パーカッシブなロックである。初めて聴いたときはいたって普通だと感じた。もうちょっと過激なものを期待していたので、当時不満だったことを覚えている。今でも楽器編成の厚い曲におけるその印象は変わらない。とはいえ、アコースティックギターと薄めの打楽器(たまに鍵盤)を従えただけのボサノバ曲はなかなか魅力的である。演奏時間が短いのがもったいないぐらい。

  曲はモンチとNando ReisとArnaldo Antunesによるものが大半で、ピシンギーニャやCartolaの曲が少々挿入されるという構成。本作の方がMPB史における重要度が高いけれども、個人的には次作"Rose & Charcoal"(EMI, 1994)の方が好みである。

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