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ビル・エヴァンス最晩年をCD一枚で聴くならばこれ

2011-06-01 12:27:43 | 音盤ノート
Bill Evans "The Brilliant" Timeless, 1996.

  ジャズ。Marc Johnson (b)とJoe LaBarbera (d)を従えた1980年のビル・エヴァンス最晩年の録音。

  この時期の演奏は三種類発表されている──1."Turn Out the Stars"(Warner), 2."The Last Waltz"(Milestone), 3."Consecration"(Milestone)──けれども、いずれも6枚から8枚のボックスセットであり、気軽に聴けるものではない。ただ、それらから抜粋して一枚に編集したCDもある。1から抜粋した"Highlights from Turn Out the Stars"(Warner, 1996)と、3から抜粋した"Consecration I""Consecration II"とこの"The Brilliant"(すべてTimelessというオランダのレーベルから, 1996)である。

  音質のクリアさは、"Turn Out the Stars"とその編集盤"Highlights"が他を圧倒する。この"The Brilliant"の録音は明瞭ではなく、ベースはくぐもって聴こえるし、ブラシを使っているときのドラムはよくわからない。しかし、エヴァンス最晩年の気魄迫る演奏のうち、性急で焦燥感を掻き立てるものでありながら、同時にリリカルかつギリギリ端正にまとめられているという奇跡的な名演を選んで収録している。"Nardis"のような長尺で激しいインタープレイを中心に据えた曲が無い分、熱狂的なファンでなくても聴きやすいだろう。

  なお、2010年にリマスタリングされた上にジャケットを変更した盤がTimeless Jazz Legacyから発表されているが、そちらは未聴。

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